概要
フリーのイベント屋・御手の、三十年ぶんの段取りだ。
ところが、この男が回す現場には、なぜか人ならざるものが集まってくる。
なりかわる主役。終わらないアンコール。群衆の、眼。
御手は、それを退治しない。祓いもしない。
客電を上げ、音を止め、拍手で送る。イベント屋のやり方で、終わらせるだけだ。
――ちなみにこの男、前の世界で五十歳のときに死んでいる。本人は、まだ気づいていない。
「イベントは、承ります。けど、お化けは……勝手に来るんですよね」
怪異退治じゃない。“お開き”にするだけだ。
◆ 登場人物 ◆
【境野御手(さかいの みて)】
フリーのイベント屋。見た目は三十歳、中身は五十。
設営から撤収まで、何万人を集めて、ちゃんと帰す。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!イベンター経験が活きた、唯一無二の作品
「その人にしか書けない作品」というものがあると思うのですが、まさに本作は、イベンターとしての経験を積んできた作者だからこそ書ける作品だと思いました。
イベント業界を経験していない読者にも、何が起きているのか、そして現場の空気感がしっかりと伝わるように描かれています。そのため、怪異モノでありながら、お仕事モノとしても十分に成立していると感じました。
怪異による気味の悪さに加え、「果たしてイベントは無事に成功するのか」というお仕事ならではの緊張感も重なり、より一層ドキドキしながら読ませていただきました。
第3案件も、今から楽しみにしています! - ★★★ Excellent!!!まさにイケオジ案件、調った世界観が魅力的です
誰もが何かに参加したことがあるであろう、イベントは人が集まりパワーとセンスがワクワク感で渦巻く世界だと捉えがち。
それが読み手の脳裏に躍動感を与え載せて、異界と現実を交差させられる描写となっており、誰にでも読みやすい良いお話になっていると感じます。
物語の進行は無茶振りなのに容易であるかのように感じ、ストーリーはどこかホッとします!世界観、面白い!!
それは登場人物のキャラと、慎み調った文章故であり、読み進めてゆく上で解らない世界へもパニックにならず惹き込まれ関心を湧かせてくれているのだと感じます。
敵でも味方でもない、そしてまさにイケオジ案件。
主人公はどうしたのでしょうか、いつか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あるものを効かせるプロが挑む、現場系怪異譚
「面白いが、勝つ」というスタンス、すごく胸に響きました✨
御手が使う力は塩や非常灯、香盤の書き換えという地味なものばかりなのに、そのひとつひとつが「もともとそこにある力の栓を、少し開けるだけ」という説明が説得力抜群でした。
祓うのではなく、あるものを効かせる――このロジックが物語全体を貫く芯になっていて、派手さより誠実さで読ませる構成が心地よかったです。
なりかわりLIVE編、写真に写らない伊藤あかりの違和感から本物を取り戻す過程がスリリングで、特に「本物は"らしさ"でできてる」という台詞が刺さりました。
客電を上げる決断、福さんとのやり取り、ひなたが名前を呼び続けるくだり――どれも役割…続きを読む