少しずつ積み重なる違和感の見せ方がとても上手く、気づけば物語の謎へ引き込まれていました!
家族さえ存在しない世界で、伊藤あかりだけが「一ミリも違わない」という展開が特に印象的です。
一方、そんな異常事態でも飄々としている御手と、お守りを食べる謎の存在・ヨイとの掛け合いが楽しく、重くなりすぎないのも魅力でした!
仕事では一転して、豊富な経験と責任感、前任者への敬意を見せる御手も格好いいです。
最後に、大好きな『ひとりぶんの声』がセトリになくても何も書き込まない姿からは、ファンとしての想いとプロ意識の両方が伝わり、伊藤あかりとの出会いがますます楽しみになりました!
「その人にしか書けない作品」というものがあると思うのですが、まさに本作は、イベンターとしての経験を積んできた作者だからこそ書ける作品だと思いました。
イベント業界を経験していない読者にも、何が起きているのか、そして現場の空気感がしっかりと伝わるように描かれています。そのため、怪異モノでありながら、お仕事モノとしても十分に成立していると感じました。
怪異による気味の悪さに加え、「果たしてイベントは無事に成功するのか」というお仕事ならではの緊張感も重なり、より一層ドキドキしながら読ませていただきました。
第3案件も、今から楽しみにしています!
誰もが何かに参加したことがあるであろう、イベントは人が集まりパワーとセンスがワクワク感で渦巻く世界だと捉えがち。
それが読み手の脳裏に躍動感を与え載せて、異界と現実を交差させられる描写となっており、誰にでも読みやすい良いお話になっていると感じます。
物語の進行は無茶振りなのに容易であるかのように感じ、ストーリーはどこかホッとします!世界観、面白い!!
それは登場人物のキャラと、慎み調った文章故であり、読み進めてゆく上で解らない世界へもパニックにならず惹き込まれ関心を湧かせてくれているのだと感じます。
敵でも味方でもない、そしてまさにイケオジ案件。
主人公はどうしたのでしょうか、いつか元に戻るのでしょうか?使命があるのでしょうか?
その謎も解ける日が来るのかな?
そんなことも気になって…お話が増えるのがとっても楽しみです♡
「面白いが、勝つ」というスタンス、すごく胸に響きました✨
御手が使う力は塩や非常灯、香盤の書き換えという地味なものばかりなのに、そのひとつひとつが「もともとそこにある力の栓を、少し開けるだけ」という説明が説得力抜群でした。
祓うのではなく、あるものを効かせる――このロジックが物語全体を貫く芯になっていて、派手さより誠実さで読ませる構成が心地よかったです。
なりかわりLIVE編、写真に写らない伊藤あかりの違和感から本物を取り戻す過程がスリリングで、特に「本物は"らしさ"でできてる」という台詞が刺さりました。
客電を上げる決断、福さんとのやり取り、ひなたが名前を呼び続けるくだり――どれも役割の異なる人々が信頼で繋がっていく現場の緊張感が丁寧に描かれていて、涙腺にきました。
開店記念イベント編も圧巻でした。
三十年前の事故の記憶が天井に溜まった群衆圧という形で可視化される発想が秀逸で、「押さないでください」ではなく「三歩お下がりください」という言い換えひとつで群衆が変わる描写は、ホラーというより群集心理そのものの恐ろしさとリアリティがありました。
柏木隊長の独白、鵜飼の九十秒のスピーチ、どちらも人間ドラマとして単純に泣けます😭
プロローグの「もう一度、現場を作りたいか」という不穏な伏線も気になるところで、続きが読みたくなる読後感でした。