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まだ冬の寒さが残る体育館で、私はとあるものに苦しめられていた。

そう、新学期恒例の所謂「校長先生のお話」と呼ばれるものである。小学生の頃から場所や人は変われど、校長先生のこの長話は何度も聞いてきている筈なのに未だに慣れない。

しかも、高校の校長先生は特に話が長い部類であるため、座り続けている体がどんどんと痛くなってくる。

「まだ寒さの残る今日より、君たちは新しい一年を過ごしていくことになります。」

から話し始めて、早20分。

この後にまだ表彰や注意事項の確認。生徒指導の先生からの話や健康に関しての話が残っていると考えると、だんだんと虚無になってくる。

早く終われと願いながら、増していく痛みに耐え続ける。

1時間後、残っていた内容も終わり、後は担任発表と各々のクラスの確認、そして解散という流れである。

担任発表後、私たち生徒は体育館を後にし、高校二年生のフロアの廊下に貼ってあるクラス分けの表を確認しに行く。

「彩月と同じクラス。あわよくば去年と同じ堀先生のクラス!」

思わず願望が口から零れ、周りにいた友人たちから軽く笑われる。

「紬さーん。声に出てますよー。」

「紬。去年は彩月ちゃんと同じクラスじゃなくて、物凄くがっかりしてたもんね。」

声に出ていたことを揶揄う口調で話す渋谷 なずなの声と、同じクラスだといいねと言ってくれる花見 咲の声が耳に届く。そう、そうなのだ。去年は惜しかったのだ。彩月が一組。私が二組で、合同授業の教科は一緒に受けられたので良かったが、矢張り同じクラスがいい。因みに堀先生は、国語科の先生でこの学年の先生の中でも屈指の人気を誇る先生である。それにしてもなずなに揶揄われたのは解せぬ。

「あら、なずなさん?姫野君とは同じクラスになれまして?」

「なっ、なんでそれを!」

この人、ずっと前から姫野 星那という男子のことが好きで、同じクラスになりたいと言っていたのである。揶揄われたらこちらも揶揄う。しかも、いいネタがあるなら尚更だ。

「いや、前々から言ってたから。」

「言ってない!」

どうやらなずな自身は言っていたことに気づいていなかったようだ。

「じゃあ、ポロッと口に出てたんだね〜。」

先程は私が思わず願望を口にしてきた事を揶揄っていたが、まさかの自分も同じようなことを同じようにポロッと口にしていたことに酷く動揺している。しかも、幼なじみと同じクラスになりたい事を零した私と違い、よりにもよって、好意のある男子と同じクラスになりたい事を零していたのである。

「紬〜!言わないでよ〜!」

真っ赤な顔をしたなずなに何故か巻き添えを食らった咲と共にぽこぽこと優しく叩かれる。

今日も変わらず愉快だ。

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いつか忘れる君に恋をした。 月城 柊 @Touka-Hiiragi

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