主人公の鈴原登理は派遣社員として、二度の転職ののち出版社で働く社会人女性です。
周囲に馴染めず、家族や昔の友人が当たり前にできることが自分にはできないのではないかと悩む中で不登校の中学生に出会い、彼との交流をきっかけに主人公の心は少しずつ動いていきます。
どこにでも居そうな等身大の普通の人物として描かれている主人公が周囲の人間関係に悩みながら前に進んでいく姿が繊細な文体で描かれています。
彼女の他に精神保健福祉士の友人の視点からも人間模様が描かれ、しがらみを抱えて生きる社会人の心情が誌的につづられていています。
社会の中で必死に生きる読者の共感を呼ぶ一作ではないでしょうか。