概要
町に現れた奇病。「わたくしは、誰よりも幸せにございました」
エドの市中に、人が徐々に木へと変質していく原因不明の奇病「木化病」が現れた。
肌は樹皮となり、足は根を張り、やがて完全な木になるというその病。
時の将軍と御台所の美しくも哀しい最期が町で語り継がれる中、見習いの錺職人・佐吉は幼馴染のおふじと将来を誓い合う――
柴田恭太朗様自主企画
≪【三題噺 #149】「成」「定」「原因」≫参加作品
近況ノート https://kakuyomu.jp/users/90505/news/2912051602101016241
肌は樹皮となり、足は根を張り、やがて完全な木になるというその病。
時の将軍と御台所の美しくも哀しい最期が町で語り継がれる中、見習いの錺職人・佐吉は幼馴染のおふじと将来を誓い合う――
柴田恭太朗様自主企画
≪【三題噺 #149】「成」「定」「原因」≫参加作品
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!姿が変わってしまっても、美しき最愛の人。
身体が徐々に木質化して動かなくなってしまい、最後には一本の木と化してしまう“木化病”。流行り病でないとはいえ、奇妙で恐ろしい病が城下町を騒がせていた。
しかし人が木と化すその様は、実(げ)に美しき様という。そしてその“木”は、涼やかで甘い芳醇な香りを放つという。恐ろしくも美しきその病に、魅せられる者さえいるのだった。
そしてその病は、身分の違いを問わず発症するのだった。それが例え将軍の妻であろうと、市井の者であろうと……
短いお話ながらも、描写のひとつひとつが凄く丁寧に書かれていてぐっと引き込まれました。
人間が木になる過程が残酷なほど克明に描かれておりますが、それは愛する人が“人…続きを読む - ★★★ Excellent!!!死を思え
人々が徐々に木に変異し、最後には一本の木になってしまう「木化病」。言うまでもなく不治の病と墓碑のメタファーであろう。将軍と御台所の美しくも悲哀に満ちた人々に広く語られる別れの物語と、簪を贈る約束が恋人の死後に果たされたことがかろうじて読み取れる人々に語られない市井の男女の物語とが、死の理不尽さと残された者のやるせなさを突きつける。
本作の時代よりも我々は死から遠ざかっているが、それでもいつか必ず死ぬ。世の中が今のままである保証はどこにもなく、いつ理不尽な死が襲いくるかは誰にもわからない。しかし死の物語すら娯楽として消費する現代、真に「死を思う」ことは難しい。だが本作はほんのわずかだが、か…続きを読む