概要
"英雄"となる兵士は、この敗者の凍土を匍い征く。
世界が"平和"を手に入れたのは、すべてを焼き払った後だった。
一九三九年に始まった大戦は、我々の知る歴史を凍てつく白銀の彼方へと塗り替えた。
ナチス・ドイツが欧州を踏みにじり、ソビエト連邦は瓦礫の山と化し、太平洋では核の閃光がアメリカの誇りを灼いた。
そして一九六一年。
三つの帝国が不気味な均衡を保ち、世界は"冷たい平和"の氷の下に沈んでいる。
欧州の覇王、ナチス・ドイツ。
大亜細亜の盟主、大日本帝国。
そして敗戦の傷を舐めながらも、民主主義の灯を消さぬアメリカ合衆国。
――この冷え切った世界に、雪解けは来るのか。
春の訪れを告げる温かな風は、いったいどこを吹き抜けているのか。
その問いの答えを知らぬまま、極東ロシアの凍てつく大地では、人々が今日も生きている。
旧ソ連の灰