楽器が異能力となる世界「ジャポネ」で、音を持たぬ少年・白黒タクトが運命に抗い、音楽の力で世界を変えようとする物語。その第一章は、まさに“静寂から始まる交響曲”だ。
冒頭、姉との別れと憧れが描かれるシーンは、音楽への純粋な愛と喪失の予感が交錯し、読者の心を静かに揺らす。姉のピアノに宿るムジークの描写は幻想的で、音が香りや光景として立ち上がるような詩的な美しさがある。
一転して、3年後の路地裏での邂逅は、物語のテンポを一気に加速させる。
謎の男・天音五線の登場と“人を楽譜にするムジーク”の発動は、世界観の異質さとスケール感を一気に引き上げ、読者を物語の深層へと引き込む。
そして明かされる「三日月の惨劇」、姉の失踪、そして聖帝学園への誘い――。
タクトの決意が静かに、しかし確かに鳴り始める瞬間は、まさに“第一楽章”の終止符にふさわしい。
音を持たぬ少年が、音の世界で何を奏でるのか。
その問いが、読者の胸に強く残る序章だった。
「音」が超常の力となる――
奏でるほどに命が削られていく残酷な世界のなかで、
無能力者の少年が叩き出した「無音の解答」に、魂が震えました。
SFミステリーの緻密さと、
事故だらけの練習から立ち上がるロックの熱量が同居する。
そのアンバランスさが、たまらなく愛おしい。
五感さえ代償として差し出す、歪な「音楽」への献身。
かつて音を捨てた留年生と、何も持たない新入生。
彼らが掻き鳴らすのは、きっと運命さえも変えてしまう不協和音。
まだ物語は始まったばかり。
バラバラな彼らの音が重なった瞬間、どんな「真実」が奏でられるのか。
この熱い共鳴に、今後も期待!