29話時点では主人公クラウス大尉がいわゆる軍師無双をする訳では全くない。
19世紀レベルの近代文明の中、彼がただただ現場の軍人達に怒鳴られたくない一心で捻り出していく提案が、やがて彼の所属する連邦という古き体制へと少しずつ、確実に変革をもたらしていく物語……なのかなと現段階では感じる。
最前線に立つ将兵ではない士官達の政治的闘争の見せ方が良い意味でドライであり、戦争とはたった一枚の紙で多くの兵士を死に至らしめ、逆に生かすのだという皮肉と現実が緻密に、濃厚に表現されている良作。
とにかく細部に至るまで描かれるリアリティと情景描写、主人公や相棒の少佐、敵国の少佐らの心象描写が丁寧で小説世界に没入させてくれる。
これからも連載楽しみにしております。
戦争や政治の会議劇を軸にしながら、主人公の“誤解されて評価されていく構造”を丁寧に描いた作品です。
クラウスの内面は極めて慎重で平凡寄りなのに、周囲が勝手に意味を読み取り、天才参謀として形作っていく過程が非常に面白いです。
軍事国家としての連邦の仕組みや、鉄道・補給・地図といった現実的な要素の積み重ねが世界観に説得力を与えています。
会議の緊張感と、本人の内心の温度差が大きく、そのギャップが独特のユーモアとリアリティを生んでいます。
「誤解が本人より先に出世する」という構造が今後どう広がるのか、非常に先が気になる導入でした。