概要
それは、流行のかたちをした記憶だった。
十年前、SNSには「短く読める物語」があふれていた。
気軽に読めて、すぐに次へ流れていく、小さなブーム。
ニコもその中で、言葉を投稿していた一人だ。
そして、いつもコメント欄に現れる名前があった。
華子。
毎日どこかにいて、気づけば見かける存在。
やがて彼女の作品は広がり、
人々はその変化を「華子前/華子後」と呼ぶようになる。
静かに消えたはずのブームの中で、
名前だけが、今も残り続けている。
気軽に読めて、すぐに次へ流れていく、小さなブーム。
ニコもその中で、言葉を投稿していた一人だ。
そして、いつもコメント欄に現れる名前があった。
華子。
毎日どこかにいて、気づけば見かける存在。
やがて彼女の作品は広がり、
人々はその変化を「華子前/華子後」と呼ぶようになる。
静かに消えたはずのブームの中で、
名前だけが、今も残り続けている。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!消えた名前なのに、読後も通知の奥で気配だけが動き続ける短編怪談秀作
『華子前/華子後』は、SNSという日常の風景の中に、消えたはずの気配をそっと残してみせる短編である。記録は消えているのに、名前だけが先にあったように思える。その違和感が、語り手の静かな独白を通してじわじわ広がっていく。その運びが巧みだ。特に、華子が貼った「どこにでもいるおばさんが、低い声で踊っていた」動画が、画面を閉じても頭のどこかで動き続けるように感じられる場面は、この作品の不穏さが一気に立ち上がる印象的な一節だ。大げさに怖がらせるのではなく、流行、承認、忘却の底に沈んだ違和感を静かに掘り起こしてくるので、読後には「まだ覚えている、はずだった」という結びが良く効く。1話完結の長さだからこそ…続きを読む