概要
薬種屋〈桔梗屋〉の主人・与四郎は、無愛想で口も悪い。だが、診立てだけは外さない。
狐憑き、祟り、妙な匂い。
人が怪異と騒ぐたび、与四郎が見るのは噂ではなく、暮らしの綻びだ。
風の通り、匂いの淀み、人の見栄、店の無理。
騒ぎの“たね”は、たいてい手の届くところにある。
冷たく見えて、見捨てない。
情で仕事を汚さず、今日もひとつ騒ぎの正体を診立ててゆく。
漢方のようにほろ苦くとも、閉幕はハッカのように後口よく。
一話完結で読める、江戸の診立て噺です。
一話約10,000字、四幕仕立て。
毎週日曜11時更新予定。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!🍵江戸の闇を斬る冷徹薬師の鮮やかな謎解き✨
江戸の日本橋を舞台にした、全く新しい形のお仕事ミステリーです!
主人公の与四郎さんは、一見するとお金に厳しくて口の悪い薬種屋さん。
でもその実は、病そのものだけでなく、人が暮らす環境や人間関係の澱みまでを一瞬で見抜く超一流の職人なんです。
狐の祟りや呪いといったオカルトチックな噂を、確かな知識と鋭い観察眼で物理的にぶった斬っていく展開は最高にスカッとします。
お供の弥吉くんの素直な反応もすごく可愛くて、重い空気を和ませてくれるいいコンビですね。
江戸の街の空気感がリアルに伝わってくるのに、現代の私たちでも共感できる悩みがいっぱいで、気づけばこの世界観にどっぷり浸かっています🌸 - ★★★ Excellent!!!懐かしくて、温かい。
昨今の様々な事情により、時代劇はもはや大河ドラマぐらいでしか観られなくなって久しいこの頃。時代小説という文化も、世代によっては馴染みが薄くなってきているのではないでしょうか。
そんな時、手軽に読めるWeb小説界に、懐かしい温もりをもって現れたのが、こちらの本格時代小説。
頭と口がよく回る主人公、持ち込まれる怪異めいた相談、そして軽妙かつスルリと胸落ちする謎解きパート。どれも王道時代劇の手法に沿った、お手本のような作品です。
口は悪いが情に厚い与四郎の性格は、近年だとツンデレと呼ばれそうではありますが、こうした一面では測れない人間性の源流は、昔懐かしい時代劇の中にこそあったのだと気づかされます…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ぶっきらぼうな薬屋と江戸の人々
人間、生きている限り必ず怪我をしたり病気になったりするもの。当然、その中には命を奪いかねないようなものだってある。まだ、原因が分かって対策を立てられるものなら良い。けれど、中には自分の力だけではどうにもならないものだってある。そんな時、頼れるのは医者や薬屋だ。
そして、それは江戸時代も同じ。本作は、ぶっきらぼうでドケチな薬屋が、江戸の人々に次々と襲い掛かる謎の病気に挑んでいく医療×時代劇である。『狐の祟り』の謎を解いたり、何故か体が臭くなった少女を救おうとしたり……江戸の人々と店を守るために奮闘する。
この物語を通して思うのは、医者や薬屋への経緯。いつの時代も、我らのヒーローなり。