自らを傷つけることでしか生の実感を得られなかった杏野と、彼を救うために「酒を断つ」という自分自身の闘いに挑んだ小椋。二人の関係は、友情という言葉では収まりきらない、互いの「欠落」を埋め合うための祈りのようでもあります。「日本の夜と霧」の冷たい光から、はっぴいえんどの「風をあつめて」が流れる穏やかな日常へ。重厚な文学的余韻に浸れる至高の一編。
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