失踪した娘。
父親は新聞の「尋ね人欄」で毎週呼びかけを続ける。
キーワードは「期限の迫る紙」。
タブロイド紙の記事に踊らされる大衆と同じ想像を、読み手もするだろう。
そこまではきっと“予定通り”だ。
三題噺のお題「待」「北」「伝統」に沿って書かれた本作。
警察も世間も、ただの「失踪」には見向きもしない。
けれど「金」の匂いをさせれば、犯人さえも、世間さえも動き出す。
その残酷な心理を逆手に取った父親の知略と、結末で吐露される思い。
掌編ながら、一本の映画を観たような重厚な読後感を与えてくれるミステリーです。