夜、孤独、そして────透明な痛みの行き着く先は

 書き出しから、作品に呑み込まれる。感受性の沸り、痛々しいほどのふたりの純粋さ、全てがラストシーンへ、鮮やかに収束していく。
 呼吸も忘れるほど、冬の夜の冷たい空気が、肌に残るかのような読後感。
「私を、君の────」という台詞が、離れない。これを余韻と云うことを知る。