冒頭の惨劇と、夏の昼下がりの眩しさとのコントラストが鮮烈で、その落差に一気に引き込まれる。特に、日常の切り取り方の解像度が高いからこそ、その後の悪夢の湿り気や鉄錆の匂いが際立っている。青戸が死に直面した際の、振り絞るような言葉の反復描写も凄まじい。思考が砕けていく過程から、閉塞感と苦しみが生々しく迫ってくる。佐村先輩が軽快で可愛い口調のまま、恐ろしい真実を語る姿には、底知れぬ恐怖を感じた。第一章にしてバトルホラーとしての「芯」を味わわされた。
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