この川は、癒しか。それとも呪いか――
- ★★★ Excellent!!!
誰も知らない秘密の川で、少年は釣り糸を垂らした。
それは心の拠り所であり、理想の場所であり、何もかもを受け入れてくれる聖域だった。
しかし――誰にも言えない秘密を抱えた時、川は違う顔を見せ始める。
水面に映るのは、自分の顔か。それとも、沈めてしまった「何か」か。
フライフィッシングの竿先に伝わる重みは、魚ではない――
詩的で美しい文体に潜む狂気。徐々に明かされる不穏な真実。「お気に入りの川」が「心の墓場」へと変貌していく様を、息を呑んで読みました。最後まで目が離せない心理ホラーの傑作です。