「最強は英雄じゃない。災害だ」――感情を捨てた傭兵の無慈悲な無双譚

赤竜に故郷を滅ぼされ、青竜の血を引く傭兵クレイ・レノン。彼にとって殺しは仕事ではない。呼吸だ。
剣を抜けば一瞬で首が飛び、野盗を躊躇なく斬り捨て、遺体から金を漁る――
そこに迷いも感情もない。「武器を抜いた以上、殺される覚悟はあるだろう」。この一言がすべてを物語る。
復讐を求める女クラウディアとの出会い。「座長を殺した貴族を殺したい」という彼女の願いに、クレイは冷淡に答える。
「くだらんな」――この徹底した非情さが、逆に読ませる。
「やらなければやられる。やられたら関係ない人間を巻き込む。俺に掛かる火の粉は俺で確実に終わらせる。それが一番平和だ」
戦争も野盗も復讐も、命を奪うことに上下はない
――そう語るクレイの哲学は、残酷なまでに論理的で、どこか虚無的。
爽快な無双ではなく、冷たい殺戮の美学。ダークで容赦ないハードボイルドファンタジーが好きな人に刺さる作品です。