罪とは、味方とは。「気持ち悪い」「生理的に無理」ってこういうことなんだ

過疎化の進む村は変化に乏しく、進級しても教室の場所が変わるだけ……のはずだった。高三になった春奈の前には、彼女にしか見えない女子生徒が現れ、さらには今まで持ち上がりだった担任も変わってしまう。それらをきっかけに彼女の日常は壊れ、憂鬱な日々が始まるのだった。

生理的に無理、ってこういうことなんだなって思いました。河嶋が序盤からキツかったけど、物語が進むにつれてさらに気持ち悪さが加速的に膨らんでいきました。

春奈に干渉してくる周りは、クラスメートも担任もあの子も、理不尽で自分勝手でした。
心で何を思おうが自由だと思います。でも、世の中には行動に移して良いものと悪いものがあります。
罪とは何か。味方とは何か。
キャッチコピーとあわせて、白か黒か、そしてカフェオレも印象に残りました。
相手に願うのが幸せでも不幸せでも、本人の心に寄りそわないのであれば、それらは暴力となり得ます。自分の心ばかり見て、自分の思う「理想」を実現させるために動いて、相手の心を無視しているのだと思います。
春奈のもつ本当の優しさと、そうではない者たちの醜さとは、そういうところに決定的な違いがあるのだと思いました。
狂気は他人の人生を破壊する。最後は絶望でした。どうしてこうなってしまったんでしょうね……
受けた傷も、壊れたものも、元には戻らない。そう思いました。

春奈と冬華の過去のシーンはすごくあったかくて、読んでいて笑顔になれました!
また、物語内では春奈の抱く負の感情は否定されず、彼女に寄りそうことで、本当の優しさ・醜さとは何かも描かれていたように思います。
だからこそ、読者の抱く負の共感も否定されず、寄りそってもらえた気がしたし、「良心」のようなものを作品の奥から感じられたからこそ、つらい展開でも心のバランスを崩さず、最後まで読みきることができたように思います。

「後味が悪い」からこそ、読み終わった後も色々と思考や感情を巡らせることのできる、長く余韻の中にいられる作品でした。

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