誰からも丁寧に扱われないヨータ。周りが良い気分で過ごせるよう立ち回っているのに、みんなは「美味しいとこ取り」するばかり。思わず「死にてぇ」と溢した彼は、それをきっかけにチャランポランなオジサンと出会う。
特大のヒューマンドラマに心がグサグサ刺されました!
ヨータは他人に対して一生懸命なのに軽んじられる、報われない大学生です。でも一方で、自分をさらけ出さず、当たり障りない関係にとどめる、他人と距離を置く人間でもあると思いました。
そんな彼が出会ったオジサンこと桜野は「普通にクズ」。だけど、ヨータにちゃんとひとりの存在として接するし、優しさや思いやりも見せます。
チャランポランな桜野は世渡り上手なだけで、ヨータに対する態度もその「テクニック」的なものなのではないか? ヨータはそれでも、いつもの雑な扱いをされないことに魅力を感じて、この関係にずぶずぶとハマっていっているのでは?
そんな疑いの目を向けてもみましたが、二人は違うと思います。二人の間にはきちんと愛があると思います。それは友愛とも恋愛ともちょっと違う気がする、「愛」です。
ヨータが今のような人との関わり方をするようになったのは、何かそうなるような経験をしてきたからなのではないでしょうか。そして、桜野のヘラヘラして見える態度も、彼の性格だけでなく、何かそうなるに至った秘めたものがあるのではないでしょうか。そんなことを思わされました。
「ひとりぼっちで必死で踊ってるピエロ」という言葉が印象的でした。
ヨータ、桜野、アカリはある意味「いない」ことにされてきた存在だと思います。そんな人間たちがお互いを見つけて、居心地いい関係を形作っていく物語。
素晴らしい作品でした!
本作品はカクヨムプライベートコンテスト2025【テーマ:BL(全年齢対象)・ブロマンス】として書かれております。
存在感が薄く友人から雑に扱われる青年と、とある家族の物語です。
ブロマンスというエッセンスを仄かに漂わせながら物語は進みます。
もうね、最高です。
どう読んだって最高です。
みんなにお勧めしちゃう最高の作品です。
なぜなら、もう全部いいから(←説得力、笑)。
シリアスでウエットな題材なのに、すごく柔らかくて瑞々しい。こんなセンスで書かれた日には、もう読むのがとまらないです。
いわゆる現代社会というのは「すごく深刻な事を考え過ぎない」世の中です。
それは「生きるプロセス」を難解に表現して来た文学において、結論からスタートする形態が、現代文学における最新版のひとつだと思います。
すこしわかりにくいので、語弊はありますが単純に言えば、
「矛盾をはらんで生きる苦悩」を特殊な状況で語らせて書くのでなく、
「割と人生重いけど、悩んでもしかたないから」という結論から物語を書く事です。
本作品にはそういうセンスが如実に出ています。
圧倒的な筆力に脱帽します、素晴らしいです。
お勧め致します。
小難しい事を抜きにして、「単純にすごく面白い」作品でもあります。
夢中になって僕は読み進めてしまったすごい作品です。
是非、是非、この面白さを味わって頂きたいです。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)