上書きされない初恋と青春

一言で表現するなら、この物語が描いているのは「上書きされない初恋と青春」だ。
それが作者の裏コマンドだったのだと思う。

あの頃の時間は、静かに流れる川のようだった。
目立った音も立てず、けれど確かに、僕たちを前へと押していた。

本作が前日譚だとするなら、次は大学生、あるいは社会人の物語になるのかもしれない。
そう考えたくなるほど、この作品は一つの人生の起点として機能している。

これは恋愛小説というより、人生小説だ。

それは活字だからこそ成立する。

文字という媒体に対する、作者の静かな、しかし絶対的な信頼を感じた。

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