概要
夏休み、いのちについて世界中の未来技術が展示されるこの博覧会を、10歳の少年湊は楽しみにしていた。母の病を治す手がかりを探しに。
しかし期待とは裏腹に、いのちの博覧会は混雑し、湊はどのパビリオンにも入れず帰ることになる。
※いのちの博覧会は、大阪万博とは異なる架空の博覧会です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!この世界の全てを救う愛を、未来へ託して
国語の教科書に載ってもいいような、感動的な、そして問題提起のある作品だと思いました。
お母さんは、主人公を産む時にすごく悩んだと思います。病気の自分が母になっても良いのか。本来なら独りで誰にも迷惑をかけずに生きて、死んでいくのがいいのかもしれない。でも、愛されたいと願ってしまった。
自分は今でも、親のエゴで生まれてきたのだと恨みに思っているので、お母さんの葛藤は、心に響きました。
私は、病気があり、障害者なのですが、時たま「あなたのこんな状況で家族なんて持ってはいけないよ」という言葉をかけられます。反対に、「あなたの年齢なら、自分の家族を持つべきだし、仕事にも就いていないのはおかしいよ。い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あらゆる問題を解決できる未来の技術。その光景は、少年の心を救えるか
本当に「万博」の会場を訪れたような、そんな驚きと「夢」に満ちた時間を体験できる作品でした。
主人公の少年は万博を訪れる。彼の母親は「とある心の病」を抱えており、今は人形のように横たわるばかりの状態になってしまっている。
そのことに悩みつつも万博の会場を闊歩する中で、彼の目の前に「化け物」が現れる。人間のようなフォルムをしているが、目は大きく、肌はじめじめとした質感。
その姿を見て驚くが、相手は気さくな性格をしており、関西弁で楽しそうに話しかけてくる。
そして、「彼」に手を引かれる形で「万博」の中を見て歩く。そこでは未来の技術で可能となっている「レンジでチンするだけでハンバーグ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!いのちをめぐる、『大人の童話』
未来技術の祭典を舞台に、病に倒れた母を救いたいと願う少年・湊の心を描いたファンタジー作品。
人工心臓や3Dプリンタの食べ物、未来の自分との遭遇といった夢のような展示と、不思議な化物との冒険を通して、「命」や「家族」について深く問いかけます。
「命とは何か」、「人はどこまで人を救えるのか」。
未来技術によって再生された母が、言葉では伝えきれない“愛”を涙で語る場面は胸を締めつけられました。
湊はただ奇跡を願っていたわけではなく、“癒えない現実”と向き合うことで、本当の意味での成長を遂げていきます。
テクノロジーがもたらす希望と、人の心が抱える痛み。
子供にも大人にも響く“未来”と“いのち…続きを読む - ★★★ Excellent!!!未来の風が呼び寄せるひと夏の家族愛
命のことについて世界中の未来技術が集まる国際的イベント「大阪いのちの博覧会」
主人公の湊がいのちの博覧会へ訪れた目的――それは病に伏す母を治す手がかりを探すためでした。薬物治療が奏功せず、今では横たわり、悪夢を見るだけの人形と変わり果ててしまった母。
東京に臥す母のため、湊は父親と二人で東京からはるばる大阪までやってきたのです。
しかし、そこは大変な盛況ぶり。見て回りたい人気パビリオンは幾つもありましたが、結局ひとつも叶えられそうにありません。諦めかけた時、不意に吹いた不思議な風。それは湊にとって魔法のような体験として映るのです。
過去の人々にとって現代の高度に発展した科学技術は、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!とけない魔法は独りの夢、大勢の夢の循環の中に
大阪いのちの博覧会。湊は母の病を治す手がかりを探して、ここを訪れた。しかし、大変な混雑に、どの人気パビリオンも回れないまま帰る時間となってしまう。幾重にも絶望を上塗りしたその時、大屋根リングから潮風が通り抜けてくる。
展開やキャラの受け答えが良い意味で荒唐無稽で、意外性があって、すごく面白かったです。シーソーみたいに切なさとドタバタがやって来て、泣けたり楽しくなったり、感情が大きく振り回されました。
湊の「母の病が治って欲しい」というのは、いわば夢であるし、そのための手がかりを探して博覧会に来たというだけで、彼は夢への一歩を踏み出しているのだと思いました。
その歩みが何歩続くかはわかりませ…続きを読む