「きょうの実験——“塩が匂いを連れて帰る”」

元国家錬金術師・リリアは自分の『好き』を追求するために職を捨てて、小さな食堂を開業した。

壁にはリリアの思考を描いた『味の地図』が貼られ、厨房は化学反応を引き起こし、黒板には「今日の実験」という札が掛けられてる。

店内はさながら静かな実験施設だ。

「今日は“離し”をお見せしますね」
「じゃあ、匂いの階段を上ってみる練習をしようか」
「灰で揉んで、海で戻そう。それで“苦い”を外へ追い出して」

次第に入り口に列が生まれていく。
朝から客が静かに笑ってる店は、港街には珍しい。

やがて、黒板の下に小さな札が掛けられた。

<きょうの実験 成功>

そこが、彼女たちの居場所なのだ――。


今日の一匙が、明日へと味を渡す。
あなたも“おいしい空気”を感じてみませんか?

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