オオカミ人とウサギ人。
ケモノ人二匹の友情のお話。
SFファンタジーなのですが、現在のテクノロジーと夢の技術が融合していて、作り込みがすごいです。
日本の文化や歴史とケモノが盛り込まれた世界が破綻なく、とても楽しく読めました。
二匹のケモノも、他のキャラも魅力的でした。
個人的には、武士を彷彿とさせる強さと優しさ、それに美しいのですが、金銭感覚が破綻した借金まみれのオオカミ娘、マルゲリータが魅力的でした。
一話一話がとても濃いので、少しずつ楽しんでもいいかなと思います。
読み終わったころには、きっと知識が増えているはずです。
皆さんにも、ぜひ挑戦してほしい傑作でした。
オオカミ人のマルゲリータとウサギ人のコンプレットは冒険者であり、バディである。とある隊商の護衛を担ったふたりだが、ワイバーンを引き連れたドラゴンと遭遇して……かくてバディとその周囲の者たちが織り成す賑々しい物語が幕を開けた。
なんといってもリズムがすごい! 会話劇をセリフだけに任せずキャラクターのしぐさや描写を足していく描写スタイル、まさにリズムを刻んでスピード感を魅せるという、言ってみればコマ割りの妙を文章媒体で実現しているのですよ。
各コマ=マルゲリータさんやコンプレットさんの一挙動がダンダンダンと重ねられ、怒濤のごとくに畳みかけてくる特濃の臨場感――息をするのを忘れかけるという希な経験をさせられてしまいました。
そして。芝居味のある長台詞やゆるゆるな日常劇がまた、圧倒的に“急”なリズムをメロディアスな“緩”で和ませている点も見逃せません。この緩急の圧倒的落差、それこそが本作の魅力と申せましょう。
読み出せば一気に惹きずり込まれること間違いなしの女子活劇ですよ!
(「じょしえふ!―女子×SF―」4選/文=髙橋剛)
「戦闘→研究→国家運用→宗教哲学」まで一つの地続きにしているのが上手い。ワイバーン骸のスキャンや戦闘ログ解析がそのまま価値になる描写で、世界の経済基盤が一発で納得できます。
コンプレット&マルゲリータの関係が、単なる仲良しではなく「対等」「背中を守る」方向へ収束していくのが気持ちいい。カキ氷の場面は、“殺伐世界での礼節”が二人の核だと示していて効いていました。
ジェノベーゼ×皇帝パートが、スケール感とユーモア(ギャグが通じる相手がいる)を両立していて、主人公たちが「国家間カード」になっていく構図がワクワクします。
素敵な作品をありがとうございます。
以下、感想を一部、台詞としてまとめてみました。
さあ、読んでらっしゃい、見てらっしゃい。
八幡大菩薩がいらっしゃる、まさに鬼に金棒だよ!
「ほ、ほんとっすか。それじゃあっ」
賽銭箱——チャリ、チャリ、チャリーン。
「願い事は何にしたんだい?」
「ライオンのステーキを食ってみたいって」
「はぁ? 飛ばし読みすんじゃねーよ」
小説に書かれているのは、
南の皇帝が「ライオン人でステーキという名前」の人物。
そんでもって、オオカミ人女子マルゲリータの仲人をする人だよ。
「くっ、食べ物かと思ってた」
「勘違いする奴が多いな、まったく」
神仏融合、魔法、悟り、カオスが渦巻く世界で。
「デミウルゴスの魔法」は、
プラトン哲学における「混沌を秩序へと整える存在」なのか。
あるいは、
グノーシス主義における「変容」——
物質世界に囚われた人間が本来の神的自己を思い出し、
無知(アグノーシア)から目覚めて霊的存在へと回帰する
内的転換を指す概念なのか?
それとも、その両方なのか?
完結まで目が離せません。
ぜひ、読んでみてください。
最初は、この作品のタイトルを見て、中身がまったく想像できないという印象があり、インパクトがあるタイトルだなぁと思いました。
まるでパンドラの箱の外側だけを眺めているような感覚ですね😊
ですが、実際に読み始めてみると、その印象はそのまま『大正解』でした。
現実の日本、世界史、哲学、神学、そしてハイテク技術──
あらゆる要素が一つの箱に詰め込まれ、一気に放出される世界観は圧巻です。
なかなかここまでぶっ飛んだ世界観を描ききれるのも、作者の力量の賜だと思います。
この物語は、読者の年齢や人生経験によって、感じ取れる深さが変わる作品だと思います。
人生経験が豊富な読者が読むと、一見カオスに見える世界観の奥に、筋の通った哲学的な思考や価値観をそっと混ぜ込み、読者の心の底に訴えかけているのが、垣間見えるんじゃないかと思います。
思想的であり哲学的でありながら、主人公二人の掛け合い──ときに緊張し、ときに銭湯や甘味処、食事の場面でふっと力が抜けるような日常描写──は、ドタバタ喜劇のような軽快さもあり、素直に笑って読むことが出来、説教臭さがない気楽に読める作品になっています。
個人的には、この作品は喜劇の皮をかぶりながら、現実社会の裏側に横たわる負の側面を、『あなたなら、どう考えますか?』と静かに問いかけてくる物語だと感じました。
深く考えながら読むのも自由。
カオスな世界観にどっぷり浸かって、笑いや勢いを楽しむのも自由。
読み方そのものを読者に委ねている、作者の懐の深さを強く感じる作品でした。