彼女の手に残ったのは――ひと匙の銀のスプーン
- ★★★ Excellent!!!
養子の少年カイと共に、リリアナは港町で小さな食堂を開きます。
黒板に「今日の実験」を掲げ、澄まし汁や海藻団子、香油や粥といった一皿一皿で、人々の心と体をあたためていきます。
かつて戦場で「奪う知恵」を担った彼女が、町で「生かす知恵」として歩み直す姿は、やさしい再生の物語。
人の心を癒しながら、彼女のレシピはなにより彼女自身を癒す光となっていきます。
緻密なレシピは研究ノートのようでありながら、味や香り、温度や食感までも伝えてくれます。
科学と人情、戦の影と日常の台所。その両方が寄り添う世界を、ぜひ味わってみてください。