業深き人斬りの前に現れたのは……

所謂「妖刀」と呼ばれるものは、大体刀自身に意思があり、その意志が持ち主を乗っ取ることで悪さをするという設定が多い印象です。
しかしその定義に当てはめるならば、本作の刀「兼鷹」はただの道具……強いて言えば、又二郎が惚れ込むほどには美しいと思えるような刀というだけで、妖の類の意志があったとは言えません。

ただ、「刀は人の心を映す鏡」……兼鷹の刃に映っていたのは、又二郎の邪な業深き人斬りへの思い――しかも、斬っておきながら罪に問われたくはないという、実に身勝手で都合の良い理想を求めていたわけです。
そんな又二郎の前に現れたのは……。

人斬りの業に飲まれた又二郎の結末、どうぞその目でお確かめください。

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