電子の世界の怪現象――IT知識がなくても、ホラー苦手でもオススメ!!
- ★★★ Excellent!!!
株式会社ストリテクノロジーに存在する「怪異ソリューション事業部」
そこに配属されることになった新人エンジニアのOJT(職場内訓練)記録を追う―――という、IT×ホラーを扱った現代社会だからこその恐怖を刺激させられる作品です。
ホラー苦手な方も、ご安心を。
私もホラーは結構、いやかなり苦手寄りのジャンルではありますが、すっかり物語に引き込まれて、最後までスクロールする手が止まりませんでした。
それに、ホラー要素はさほど強くありません。どちらかと言えば「何故このバグが発生したのか」という、謎を追うミステリー要素の方が強いので、考察大好きな方はぜひ。
IT知識がない方も、どうかご安心を。
主人公が新人エンジニアということもあり、物語の中でIT用語が詳しく解説されます。度々間に挟まる社内wikiでも用語がまとめられていますので、「この単語ってどういう意味だっけ?」となってもいちいちネットの検索エンジンを開く必要はありません。
また、ぶっちゃけIT用語それほど理解できなくても面白い作品です。
物語の進行は少し特殊で、基本的には社内のチャットログや監視カメラ映像、日誌などを読むという形で進行します。
そのおかげかスラスラ読めて、かつ、ある会社の案件記録をそのまま読んでいるような感覚になり、実はこれ、実話なんじゃないかと別な恐怖がやってきます。
怪異とは、本来、妖怪や魔物、神話生物といった人の常識の範疇を超え、半分非現実の領域に足を突っ込んだ存在です。
データと計算の集合体であるITの世界にとっては、非現実的でスピリチュアルな怪異。
それが電子機器から発生なんて……恐ろしくて考えたくもありませんね。今こうしてレビュー文を入力しているこのPCからも「怪異」が発生するんじゃないか、なんて考えてしまいます。
でも冷静に考えてみれば、現実でも「何で発生するかよくわからない」バグってありますよね。あれ、もしかして本当にこれ、実話なんじゃ……。
それと、これは少しネタバレ込みの私の感想になってしまうのですが、OJT案件その2の勤怠記録に心と胃を痛めました。
ここ、彼に同情して泣いてしまいました。つらかったよな……。
◇◇◇
怪異ソリューション事業部_八重山海珠のOJT記録
ホラー苦手、IT知識なし、それでも楽しめる一作となっていますので、
一風変わった現代特有のホラー作品を読みたい方は、ぜひ、ご一読を。