幾重にも重なる狂気

感想

「雨が君を連れ去ってしまう前に」
は「鬼のゲーム」というものをメインに話が進んでいくストーリーです。

思いがけない展開と、容赦ない描写。
そして、表現の“線”が、とても細かく繊細で、幾重も重なり合う詩的表現が、この世界観の大きな特徴です。

話が進むにつれて、宗教色が強くなります。
とは言っても、説教的なものではなく、そこはかとなく不気味で、残酷で、狂気を感じる展開になっていきます。

蛇足ですが作者様ご本人は、この作品を書くのに、かなり心理的な体力を使ったそうです。
“静かな狂気”をぜひ。