忘れかけた心の景色に寄り添って
- ★★★ Excellent!!!
日常の何気ない瞬間から、ふと垣間見える心の機微や人の温度を、これほど繊細に、そして時にユーモラスに描ける作品にはなかなか出会えません。「思いつくまま」は、誰もが知っているはずなのに、いつの間にか忘れてしまいがちな風景や感情を、ソラタさん独自の言葉でやさしく掬い上げてくれます。
たとえば、夜明け前の台所で泣く母の背中、子ども時代の水切り石の音、バイクの排気音とマルボロの煙の匂い――すべてが一枚の記憶の絵となって静かに心に残ります。時にくすりと笑い、時にしんみりと胸に沁みる、そんな小さな物語の連なり。その中には、現代を生きる私たちの日常の孤独やささやかな幸せ、そして言葉にできない「やさしさ」がそっと息づいているのです。
素朴な一文一文の裏に、人生の機微や人のあたたかさ、時にユーモアも感じられる本作。ページをめくるたびに、「あなたの大切な何か」をそっとすくい上げてくれるかもしれません。