たくさんのメッセージが詰まった、声にならない想いの物語

この作品は、心因性失声症を抱える少女・白鷺音羽が、日々の息苦しさと向き合いながら、自分らしく生きるための一歩を踏み出していく物語です。

※第一章:第12話 まで読ませて頂いてレビューさせて貰いました。

栗パン先生の、描写のきめ細やかさと感情のゆらぎの繊細さで、彼女の仕草や、彼女の世界を色づけている音、光、風たちが、読者の胸にも届きます。

転校生との距離、カウンセラーの言葉、新しく出会う友達――どの出会いも、音羽の世界を少しずつ「音のある方」へと惹きつけていく。その過程が、痛みをともないながらも、とにかく愛おしい。

やさしさとは何か、寄り添うとはどういうことか・・・読者自身の“問い”に繋がる瞬間が、何度もあります。

とてもあたたかく、人気作なのがうなずけます。

色々な事と戦っている現代の“心の痛み”に寄り添ってくれる、すべての人に読んでほしい一作です。

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