エリート進学校、その内情に分け入ることは決して容易ではない。
しかし、筆者独自の経験と視点から開示された特異ないじめの実態は、静かであり過酷なものだった。
その環境において、まるで人間関係のクレバスに落ちたかのように声を失った少女・音羽ちゃんが、不思議なオーラをもつ転校生・澪くんと出逢う。偶然のような必然性。なぜなら、澪くんもまた、大変な背景を背負っているからだ。
思春期真っ只中の二人が、互いにひかれあいながら、時にそれをよすがとし、それぞれの苦しい現実を必死で乗り越えてゆく。
若い二人でありながらも、互いに依存せずに己の足でしっかりと大地を踏みしめること、その大切さを理解している。これがなによりも素晴らしい。
最後に音を取り戻し、羽ばたく音羽ちゃんの英文スピーチに、その意識の高さが読み取れます。
恐ろしい先生や親がいる反面、彼らを支える親たち、漢文の先生、カウンセラーや友人たち、サポーターたちの活躍にも胸が熱くなります。
ぜひ一度、ご覧いただきたい。リアリティと夢が交差する、素晴らしい青春小説です。
高校生の音羽は、スピーチ大会に向けて努力を重ねてきたのにも関わらず、信頼していた人に裏切られ(冷たく突き放され)、やがて心因性失声症となって声を発せなくなってしまった。
そんなある日、彼女の前に澪という名の男の子が現れる。
彼は、明るく真面目で英語が上手……すぐにクラスの人気者になるが、常に音羽を気遣うように立ち回る。
どうやら二人は、かつて出会ったことがあるようだ。
澪はその時の思いから音羽を守ろうとするのだが、彼もまた、心を追い詰められることの苦しみを、身を持って知っていたのだった――。
声を出せなくなった音羽と、生きることを制限され続けてきた澪、二人が互いを優しく支えながら自分自身を取り戻していく……二人の優しさと勇気が胸を打つ、奇跡のような物語です。
今作において二人に立ちはだかる障壁はあまりに高い。
本来、信頼すべき先生に理解されなかったり、愛すべき親に自由を縛られたら……。
社会もその解決のためにスムーズに動いてくれる……ということは難しいでしょう。
それでも、二人はいろんな人々の力を借りながら、そして反対に手を差し伸べながら、友達をつくり、自分の心と向き合い、状況を少しずつ明るい方へと運んでいきます。
そんな過程を通して、自分自身の声を持つことの大切さ、そのために支え合う勇気や優しさの重要さを教えていただきました。
是非とも、多くの方々に読んでいただきたい傑作です!!!
完結前の第58話の時点でレビューいたします。
メインは二人の高校生のまっすぐな恋――です。
それが好きな方はきっととても楽しく、ハラハラしながら読めると思います。また、そうではなくても、かつて高校生だったころに苦しんだこと、悩んだことを覚えている人は、なにか「これ、思い出す感覚だ」と思うのではないでしょうか。
高校生たちが主人公ですが、きっと大人も、高校生以前の方も、無理なく読めると思います。
また恋の話ですが、それ以上のものが書かれています。乗り越えるものを乗り越えたり、現実の辛さに手を差し伸べてくれる大人と出会ったりする要素が、ていねいに描かれています。
紅戸ベニという読者は、わりとそっちのことが気になって気になってストーリーを追い続けた気がします。
音羽と澪は、とてもお似合いなので、恋の心配はしなかった!
完結まで二話を残すのみ。
『音に、音はない。』というタイトルに込められた意味が、まだありそうな予感も、しています。
音羽に、声という音が失われていること。逆に誰かとつながるための伝達の手段に声という空気の振動は絶対に必要なわけではないということ。表裏一体の意味は、今のところあるのじゃないかなーと思っている読者なのですけれど。
声がなくても、心は語れる――🎧🫀
栗パン先生の『音に、音はない』は、声を失った少女・音羽と、彼女の痛みに気づいた少年・澪の再会を軸に、心の再生と絆の芽生えを描いた繊細な青春小説です🫂🌱
音羽は、心因性失声症という“声を失うほどの痛み”を抱え、学校でも家庭でも孤立していました。 彼女は自分の名前すら名乗れず、「音羽」から「音」へ――羽を失った存在として生きていたのです💬🫧
そんな彼女の前に現れたのが、かつての幼なじみ・澪――🌙📖
「痛みは、誰かに寄り添われることで、少しずつほどけていく」🕊️💔
沈黙の中に響く“心の音”を描いた、優しくて切ない青春物語です🎧🌸
心因性失声というデリケートな病を題材に扱いつつも、
主人公の少女が日々の暮らしの中で多くの「気づき」を得て、成長していく物語です。
また甘酸っぱい恋模様も綴られており、自然と元気をもらえます。
各話の後書きの内容もとても素敵で、そこを含め、
作者様に優しくカウンセリングを施されたかのような、毎度心地よい余韻が残ります。
派手な展開こそありませんが、だからこそ、
自分たちの「身近」でそっと綴られている物語をのぞいているような、
日々の暮らしに寄り添った作品だと思います。
落ち込んでいたり、悩んでいることがある方には、特に染み入る作品と思います。
ぜひ主人公の心の「声」を聞きに来てください。
あなたの心に、きっと、静かに響くはずです。
This author once wrote a novel about Cat Island, which was so cute and heartwarming. When I picked up her new work, I stepped into a completely different world, but what hasn’t changed is her delicate, detailed way of portraying emotions and scenery.
The story unfolds with both strength and tension, yet still carries the sweetness of romance. I was deeply moved by the way these two high school students support each other and keep moving forward together. It truly touched my heart.
After finishing chapter 40, I felt I just had to write this review. I’m so moved!