言葉は人を傷つけ、壊してしまう「武器」——。
過去のプレッシャーや周囲の視線に傷つき、心因性失声症によって自ら声を捨ててしまった少女・白鷺音羽。静寂と「大丈夫」というお守りだけを頼りに心を閉ざす彼女の前に、ある日、ひまわりのように眩しい転校生・清瀬澪が現れます。
本作の最大の魅力は、情景や音の繊細な描写と、息をのむほどリアルで切ない心理描写です。
痛いほど伝わってくる音羽の息苦しさと孤独。けれど、そんな彼女の暗闇にそっと寄り添う澪の押し付けがましくない優しさが、読者の心まで温かく包み込んでくれます。
「自分を守るための言葉」とは何か。「大丈夫」という言葉に込められた痛みに寄り添うストーリーは、読む人の心に深く刺さり、優しく寄り添ってくれるはずです。
生きづらさを感じているすべての人へ。
声なき日々を越えて二人が世界を塗りかえていく姿を、ぜひ見届けてください。心からおすすめしたい、涙と希望の傑作です。
10話まで読ませていただきました。
最初は「声を出せない少女」の物語だと思っていました。
でも読んでいくうちに、
音羽にとって声を失うことは、
ただ喋れないというだけではないんだと感じました。
傷つく言葉から自分を守るために、
自分から「言葉」という武器を手放している。
そんな音羽に対して、
澪が無理に喋らせようとしないのが好きです。
隣に座ったり、紙に書いたり、
噂を軽やかに否定したり。
音羽が自分から少し動けるまで、
距離を縮めすぎずに待っている。
だからこそ第10話で、
誰かを助けるために「声を出したい」と願う場面が強く残りました。
声を取り戻せるのか、という結果以上に、
音羽自身がこれから何を伝えたいと思うようになるのか。
続きを読みたくなる序章でした。
心因性失声症によって声を失った音羽と、幼なじみの澪との再会から始まる物語。痛みや誤解の積み重ねを丁寧に描きながら、二人が少しずつ歩み寄っていく過程が静かに胸に響きます。
派手な展開で引き込むタイプではなく、感情の積み重ねでじっくり読ませる作品です。比喩を多用した叙情的な文章は美しい一方、心情描写がやや長く感じる場面もありましたが、それも音羽の「言葉にできない思い」を表現するための手法として機能していたと思います。
声を失うこと、それでも誰かとつながろうとすることの意味を考えさせられる、丁寧に書かれた青春小説でした。
私が尊敬する栗パン先生の、新たなる名作です。
このたび書籍化が決まったそうなので、皆さん無料で読める今読んで、また本も買いましょう。
物語は、ある日声が出なくなった少女と、複雑な家庭に生まれ絶望感を抱いている少年の出会いから始まります。
いじめや虐待、あらぬ誤解など、取り巻く環境の不幸の連鎖に負けず、二人が幸福と勇気を取り戻していく姿を描きます。
それまでの間が辛く、長いかも知れませんが、主人公たちとともにそれに耐えたあと、ラストに待ち受けるカタルシスは、他に変えられないものがあるでしょう。
出会えて良かったと思える作品です。もう一度言いますが、今のうちに、今すぐ読みましょう。
最後がとても印象深い作品でした。
短い言葉では、表しようのないくらい、たくさんの思いが詰まった作品でした。
こんなにも熱いパッションと勇気と元気をもらえる作品は、ちょっと類を見ないほどで、一話一話に込められた作者の思いが、それを体現させてくれます。
本当に深く考え抜かれて書き起こされた文章だなと、書き手として、強く感じます。一行一行が尊さと、強い意志を持っているかのような、それこそ詩のような重みを感じさせる文章で、読み手としても、気持ちを集中しながら丁寧に読み進めていかなければ、掴み取ることが出来ない、そんな印象を持ちました。
この物語を読むことで人生観が変わる、そこまでの力がこの作品にはあります。何かに悩んでいる方々、不断の努力を強いられている方々、ぜひとも、この作者の声、音を聞いてください。そんなアナタにも、きっと、小さな希望の灯がともるのではないでしょうか。
コメント失礼します。
とても優しい物語でした。
でもその優しさは、
ただ「癒される」だけの優しさじゃない。
ちゃんと痛みを知っている人が、
傷付いた誰かへ、
そっと毛布を掛けるみたいな優しさでした。
まず文章が綺麗です。
空、風、草、川。
世界そのものが、
主人公・音羽の感情に寄り添うように描かれていて、
静かなのに、ずっと胸が苦しい。
特に冒頭の、
「空は、青くて、広くて、やさしい。」
この一文だけで、
“この子は世界をちゃんと見ている”
と分かるんですよね。
だからこそ、
その後に続く「声を失った理由」が重い。
しかも、この作品は、
ただ「いじめられて可哀想」という描き方をしていない。
“期待に応えられない怖さ”
“失敗への恐怖”
“ちゃんとして見えなきゃいけない苦しさ”
そういう、
実際に心が壊れていく過程を、
かなり丁寧に描いているのが印象的でした。
特に好きだったのが、
「言葉は武器」という表現。
誰かを傷付ける言葉だけじゃなく、
期待や視線や善意ですら、
時に人を追い詰める。
その怖さが、
音羽の視点を通して凄くリアルに伝わってきました。
あと、小春ちゃんのくだりが本当に好きです。
読んでいる間、
“唯一安心して話せる相手”
みたいに見えていた存在が、
実は猫だったと分かった瞬間。
あそこで、
音羽がどれだけ孤独だったのかが一気に胸へ刺さった。
でも、この作品は暗いだけじゃない。
お母さんの不器用な愛情も、
最後に現れる少年も、
ちゃんと“光”として描かれている。
だから読んでいて、
「苦しい」で終わらず、
“この子に幸せになってほしい”
へ変わっていく。
後書きまで含めて、
作者さん自身が、
とても真剣にこのテーマへ向き合っているのが伝わりました。
心が弱った経験がある人ほど、
きっと何かを感じる作品だと思います。
静かな青春物語、
繊細な心理描写、
優しい恋愛作品が好きな人にはかなりおすすめです。
人は自分のことをどう思っているんだろうか。ある人は世界一優しい人、天才と思っているだろうし、ある人はどうしようもない奴、身勝手なクズ野郎と自嘲するだろう。それだけならまだ良い、問題なのは、その思い込みが自分を腐らせてしまうことなんだと思う。言い換えれば、自分のことを愛せなくなることなんだろうか。
本作の主人公、音羽ちゃんは声が出せない。それ故に、身勝手な偏見やいじめに晒されていた。人間の悪意が彼女を傷付け、傷付けられた自らの心が自分を傷付ける悪循環。自分を愛せなくなっていたといったところだろう。
それでも、彼女には大切な仲間がいる。野良猫の小春に、陽気なイケメンの澪。彼らの善意が、ボロボロになった音羽ちゃんの心を癒していく様が本当に素晴らしいのだ。
正直、かなり辛い話。けれど、それでこそ人の善意も輝くというものだろう。ぜひ読んでみてほしい。