この契約結婚、偽りの愛のはずが、鬼神領主様の呪いも解いてしまいました

没落した伊吹家の最後の姫、咲耶。彼女には枯れゆく故郷の森に宿る、木霊の声を聴く力だけが残されていた。 新たな領主となった秋月景久は、戦場で「鬼神」と恐れられる一方、触れるものの生命力を吸い取る呪いに蝕まれ、心を閉ざしていた。

大地を救うため、古の盟約が持ち出される。 それは、咲耶が景久の元へ嫁ぎ、契約結婚を結ぶというものだった。 彼の荒ぶる魂を鎮め、土地を癒すため、偽りの愛情を捧げなければならない。 咲耶はこれを一族の最後の務めと受け入れ、景久はこれを忌まわしい政略の鎖と見なす。

冷たく閉ざされた城で、咲耶は「鬼神」の内に秘められた孤独と苦悩を知る。 彼女がその力で庭の木々を蘇らせるうち、景久も彼女を温かな光をもたらす存在として意識し始める。偽りから始まった関係が真実の愛へと変わる…続きを読む