構成と描写が堅固ながら、読みやすい

特に序盤は少々とっつきにくいのですが、決して読みにくくはありません。文章は堅めながら、むしろ読みやすい部類に入ると思います。

キリスト教やらナチスドイツやらの要素がふんだんに盛り込まれていますが、それらの要素が物語を過剰に複雑にしていません(私は、自身がクリスチャンであって、聖書やキリスト教史に慣れ親しんでいるせいもあるかもしれませんが)。文章力と構成力に優れた作品です。

物語として見た場合も、複数の時代や、時には主人公が書いている小説の世界までもが入り乱れながら、読み手を混乱させないだけの構成上、描写の配慮が感じられました。かなりレベルの高い物語だと思います。

腰を据えてじっくり読んでみたい一作です。

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