何層にも重なる重い雲に抗う物語

読む人をえらぶ、それはたぶん、主人公(たち)の理想との乖離が生むもので。
そうしたものを取り払ってみれば、これは幾層にも重なり人を苛むものへの抵抗として普遍化される物語。
歴史を超えて繰り返される理不尽な抑圧を、小さな仕草と知らないはずの背中の痛みで繋ぎ続ける筆致は圧巻です。