概要
感情も才能も“機能”として管理される国――東亜帝国。
高等部に通う綾木心弦(あやきしんげん)は、
義妹のいのりを守ることを支えに、平穏な日常を過ごしていた。
しかしその平穏は、
十年前に惨劇を招いた幼馴染の“再来”によって崩壊する。
絶望的な戦場のなか、
生き残った仲間たちと目指すのは、
地図に載らない伝説の島《久澄ノ島》。
そこは、高度な自律型知性が支配する、
帝国の常識が通用しない未知の文明圏だった。
島で明かされる、いのりの出生の秘密。
そして、千年の時を超えた魂の約束とは――。
「たとえ運命が決まっていても、最期まで足掻くことはやめない」
「兄妹」として生きながら、
それでも互いに手を伸ばし続けたふたりの、
揺れる『命』のあり方を
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!有限自動機械は未許可の感情の夢を見るか?
綾木心弦とその義妹、いのり。
二人を中心として描かれる群像劇です。
彼らの生きる世界は高度管理社会、東亜帝国。
国民に〝ポート〟と呼ばれる機器を挿入し
その精神活動に係る要素を管理する社会体制を敷く国家です。
そんな管理され盤石に思えていた社会は唐突に存亡の危機を迎えます。
所在不明となっていた綾木兄妹の幼馴染の手によって。
主人公たちを取り巻く世界は急変し、各個人の秘密。過去、そして世界の謎へ彼らを導いてゆきます。
壮大な物語は、精神工学と神話や前世。哲学や精神世界といった数多くの要素により彩られます。
本作を読む方はライトノベル特有の異能バトルばもちろんのこと、深い感情の機微、世…続きを読む - ★★★ Excellent!!!感情が"後付け機能"の世界で、規格外の少年が守るもの
感情すら国家に制御される近未来。追加機能で人間を最適化する社会で、主人公・心弦は義妹いのりとの関係に揺れながらも、平穏な日常を送っていた。
しかし、幼馴染が「エコー」化した事件をきっかけに、心弦の規格外の能力が明るみに。そして今、敵国の侵略が始まり、いのりに隠された出生の秘密が世界の命運を握ることに——
感情管理社会という斬新な世界観
義妹との距離感が絶妙に切ない
バトルと日常のバランスが心地よい
伏線の張り方が丁寧で先が気になる
まだ序盤ですが、すでに引き込まれる展開。特に、心弦がいのりを守るシーンは胸が熱くなります。全4部構成とのことで、これからの展開が楽しみな作品です。 - ★★★ Excellent!!!その感情、分類不可
作者さまの描かれるSF作品は、未来的な工学技術と生体科学が融合したような、独特な世界観が魅力的です。
このお作品では感情を「機能」として扱う国家に生き、身体にポートを埋め込まれるのが常識となっている世界が描かれています。
けれどその歪な設計思想が、取り返しのつかないバグを生んでいくストーリーは、国家間の欺瞞やさまざまなキャラクター達の群像劇を緻密に描き出しており、圧巻の完成度です。
そして主人公と、その義妹であるヒロインにはそれぞれ隠された秘密があるのですが、それを越えてお互いに惹かれあう、特別な感情で結ばれていきます。
それは「恋」なのか「献身」なのか「忠誠」なのか…この国家では「未…続きを読む - ★★★ Excellent!!!綺麗な物語の中に咲く、最高のヒロイン『いのり』という名の“祈り”
まず、この晴久先生の作品には、どれも一貫して美しさと静かな力強さがあります。
他の作品のレビューを読んでいただければ、それがどれほど深く読者に届いているかが分かるでしょう。
どの物語も☆100を超える評価を受けており、その理由は読めばすぐに納得できます。
多くの方がその世界観や物語構成の美しさに触れている中で、私はあえてヒロイン・綾木いのりという少女の魅力に焦点を当てたいと思います。
綾木いのりは、ただ「可愛い」だけのヒロインではありません。
記憶を失い、帰る場所すら曖昧な世界で、それでも彼女はまっすぐに、
たったひとつの想い――義兄である心弦を想い続けています。
第2章のプロローグで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!苦しさや、切なさすらも、惹きつけられる
人間から感情が制御され、いわゆる「異能」のような機能を追加される社会。
読み始め、統制されたディストピア世界の、ひりひりするような緊迫した雰囲気に圧倒されました。
現代を生きる私から見れば、「それでいいの?」と思うところのある社会システムを、当たり前のものとして受け入れて生活している主人公たち。それでも、彼らにだって、普通の日常がありました。
――戦争が始まる前では。
そこから、緊迫は、肌が粟立つような恐怖に変わります。
苦しさや、切なさ、辛さが漂います。
けれど、目を背けたくなるのではなく、逆に、どんどん物語に惹きつけられていきます。
それは、主人公・心弦と、ヒロイン・いのりの純愛や、…続きを読む