かごめかごめの歌が聴こえる時、惨劇が始まる

 主人公の坂崎直央には妻神綾香という幼馴染みがいた。
 彼女はいじめを受けていたのだけど、ある日、彼女の家がある方向から煙が出ているのを、坂崎は教室の窓から見た。
 いじめを先導していた長谷川という女子が彼女の家に火をつけたんじゃないかと疑う坂崎だが、その後、学校の外が白い霧で覆われ、綾香がわらべうたを歌う声が聞こえてくるという怪現象が起きる。
 そして、坂崎たちは学校に今、十六人しかいないこと、また、この学校から出られないことに気づいた。
 パニックになる坂崎たちに綾香が歌を歌いながら襲いかかる……という物語です。

 ジャンルはホラーですが、舞台設定にクローズドサークルもののミステリー作品っぽさがあって、推理小説が好きな人も楽しめるのではないかと思います。

 頻繁に聴こえてくるかごめかごめの歌が不気味で不気味で……
 よく聴くと怖いですよね、あの歌。

 作者の筆力が非常に高くて、自分もその場にいるような緊迫感や恐怖を抱きました。ただ、けっこうグロいシーンがあるので、人によってはきついかもしれませんね。私は平気ですけど。

 綾香はいじめていた人たちに復讐しようとしてこの惨劇を起こしているっぽいんですけど、主人公の坂崎くんは彼女をいじめた覚えがないみたいなんですよね。
 でも、彼も復讐の対象になっているみたいで、それはなんでなのか、本当にいじめてないのか、などなどいろいろと気になる謎があって、早く先を読んで真相が知りたいって思ってしまいます。作者の物語の構成がうまいんでしょうね。

 とってもクオリティの高い作品なので、是非読んでみてほしいです。

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