役割を愛する宮廷の空気感が冷え冷えとする

中華風の後宮で掛け軸に隠れてしまった正妃の女官を勤めてる主人公の視点から語られる物語。

正妃は妾妃に悋気を起こして掛け軸の中に隠れている。
正妃が再び出てくることを願い、妾妃に暇を出したという国王。
途中、玉という美しい寒村出身の女官が正妃に憧れ、成り代わる。
努力の末、上手く成り代われた思った矢先、自身の名前を言ってしまい、彼女は正妃という役割を全うすることができなかった。

国王も女官たちも正妃という役割を愛しているにすぎない。
そのゾッとする空気感が美しい文章で、一女官視点で語られる。

地位と人は切っても切り離せないものではない、という時代感がとても怖かったです。