概要
大陸中央部の乾燥地帯に広がる、東西南北を縦横に結ぶ交易路の一大中継地。
そして、金と武力があれば法も善悪も覆る“剣と無法の世界”。
当てのない旅を続ける無頼の侠客(任侠――弱気を助け強きをくじく心意気――を旨とする者たち)、六道。セルードというオアシス都市に立ち寄った彼は、理不尽な借金を背負わされたアトレクというコボルトの青年と知り合う。
相手は、町の裏側を支配する顔役、ドワーフのグオ・ルー。
筋の通らない無法をはたらくグオ・ルーに、六道は、たった一人で戦いを挑む。
※本作は、連載版『翠利剣侠行 六道無法剣(スーリけんきょうこう りくどうむほうけん) 第一話~第三話』の第一話を元に修正を施したものです。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!砂漠やオアシスへの郷愁をそそる武侠大作
一読して圧倒された。
読んですぐレビューを書かなかったのは、自分の中の興奮を抑えるのに時間がかかったからである。
賭場の場面に興奮した。
自分も賭場を書いたことはあるが、オアシス都市の賭場の描写は破格で、作者の豊富な知識と想像力に脱帽した。
初めて耳にする異国のエキゾチックな言葉も魅力的だ。
「マシュカーズラ」「天(アーセマン)」「地(ザミーン)」
読者をあっという間に武侠の世界に引きずり込む、そんな麻薬的な効果がある言葉だ。
主人公の六道のキャラもよかった。
こういう「義を見てせざるは勇無きなり」タイプのヒーローは、最近めったに見ない。
最近のヒーローはみんな斜めに構えすぎだから、六道…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「自分から面倒ごとに首を突っ込んでくとはね。奇特なお人もいたもんだ」
義と情に生きる漢、六道。
彼は、陰謀と悪意渦巻く異国の地で人々を救う任侠である。
オアシス都市セルードの外れで出会ったのは、涙にくれるコボルトと、それを慰める幽霊たちだった。
事情を聞けば、コボルトは罠にかけられ、有り金と通行手形、そして家族探しの路銀を奪われたという。
――そんな大事な金をか。グオ・ルーとかいうの、人の皮を被った鬼畜外道だ。
罪もない若者が人生破滅しようとするのを見て、六道は素通りできるわけがない。
六道はグオ・ルーが取り仕切る賭場へと足を進めることとなる。
仁義と激情の異世界活劇、ここに開幕! - ★★★ Excellent!!!武侠×オリエンタルファンタジー!
この物語の舞台は、セルードというオアシス都市。
そこではゴブリンもドワーフも種族として暮らしているのですが、不思議と全体に武侠感を感じ取ることができるのです。
主人公の六道は、様々な経緯を経てセルードに辿り着いた東国人。
虐げられている人、困っている人間を見過ごすことができず、つい厄介ごとに首を突っ込んでしまいます。
相手はずる賢く手ごわい相手。
果たして六道は弱きをたすけることができるのか……?
この作品の魅力は西洋・中東・武侠の要素が見事に調和していて、スーリ九ヶ国という架空の世界を見事に描写し、武侠作品として描き出しているところだと思います。
そこに住まう人たちにも、そして悪役にも…続きを読む