シンギュラリティ後の未来都市において、先端技術を操る美少女クロエが、不合理な怪異と人間の心に寄り添い、暴き、戦うお話。
そのギャップと彼女自身のキャラクターの温度感が、このお話を唯一無二のバディ・ミステリーにしています。
日本のSFに美少女は欠かせません。
それは、冲方丁や小川一水のような大御所の作品であってもです。
本作のクロエは、特任教授という知的な記号をベースに敷きつつも、白い髪に青い瞳の美少女、家ではダサTシャツ姿でポテチを齧り、学食では唐揚げに目を輝かせます。
さらに、白無垢が似合いそうだと言われれば、耳まで真っ赤にして照れ、そのクール・ダメデレなヒロイン力を見せつけます。
このお話は、SF怪奇物であり、一人の天才美少女が温かい日常と笑顔を獲得していく優しい人間讃歌でもあります。
(がんばれ!沙織)
舞台は、超高度AI《Alice》が社会を完全に管理する2055年の未来都市。
すべてが効率化された「人工楽園」の裏側に、科学では説明できない「怪異」が潜む。その怪異に、探偵コンビが挑む――
主人公は、右腕に幻肢痛を抱える苦労人の青年・結と、先端技術で怪異を暴く天才少女・クロエ。二人の掛け合いがとにかく楽しいです。
AIの監視網を裏手に、現代の都市伝説である「無人幽霊タクシー」の謎に挑むスピーディーな展開にぞくりときました。ハードボイルドなオカルト要素と、コミカルな日常の掛け合いのバランスも絶妙。
SFとオカルトが融合した良作です。
シンギュラリティ後、AI《Alice》が人類を統制する未来の日本。
完璧に管理された人工楽園で、探偵コンビが唯一《Alice》に観測されない“怪異”を追いかける物語。
AI社会の合理性と、怪異の不合理さ。
その二つがぶつかる世界観は新鮮で、SFとホラーと青春が絶妙に混ざり合う。
軽妙な掛け合いの裏に、AIが見落とす“人間らしさ”が静かに浮かび上がるのも魅力。
怪奇事件の謎解きだけでなく、バトルや友情、少し切ない感情まで詰め込まれ、未来の日本を舞台にした新感覚の怪奇録として読み応えがある。
怖さと笑いと温度感が同居する、人工楽園の裏側をめぐる青春SFミステリー。
このお話は、AIが社会を統制する近未来の日本で、怪異専門の探偵と天才ハッカーのバディが、様々な怪異事件を追うストーリーです。章ごとのストーリー仕立てになっているので読みやすいです。第一章は、無人幽霊タクシー事件を追う物語です。探偵は依頼で行方不明の女性を捜すうち、深夜の無人タクシーに乗ったまま異界に連れ去られます。ハッカーは監視網のログとGTSで怪異の痕跡を解析し、タクシーが実は半世紀前の廃車でありながら意志を持って走っていると突き止めます。探偵は刀で本体を祓い、神社の鏡を破壊して少女を救出し、最後は日常へ帰還します。さあ、第二章以降はどのような事件に巡り合い、解決していくのでしょうか。ぜひみなさんでお確かめください。
AIが人間を管理する近未来と、不可思議な怪異を組み合わせたSFホラーです。
すべてがAIによって管理される社会は、理想の未来なのか。それともディストピアなのか――。
そんな科学技術の進んだ世界で、探偵たちが追うのは“観測されない怪異”。
最先端の技術と、科学では説明できない存在。この対比がとても面白く、不思議な世界観に引き込まれました。
ジャンルはホラーですが、登場人物たちはどこか人間臭く、愉快な仲間たちとのやり取りにも温かさがあります。
AIが管理する『人工楽園』で起こる怪奇事件。SFとホラー、そして人間ドラマが交差する、先の展開が気になる物語です。
AIがどれだけ世界を管理しても“理解できない何か”が残っている――そんな作品の不気味さと魅力が伝わります。
高度なAIが人類を管理するディストピア的な近未来。
そんな徹底的に計算された世界で、突如として発生する“観測不能の怪異事件”に挑む探偵たちの物語です。
科学とファンタジー(オカルト)の融合というテーマが非常にハイレベルで描かれており、設定の説得力に圧倒されます。
完璧な管理社会の裏で蠢く怪異の恐怖と、それを解き明かし、挑んでいくサスペンス展開のバランスが絶妙です。
まだ前半部分の読了のみですが、先の読めないスリリングなストーリー展開の中に、白熱のバトル要素も満載。知的好奇心とエンタメ精神を同時に満たしてくれる、強くおすすめしたい一作です!
本作は、超高度AIが社会を統制する近未来を舞台にしながらも、その本質は極めてクラシカルで美しい「人間回帰」のドラマである。
右腕の幻肢痛という「身体的記憶」で怪異を感知する結と、論理の極致である最先端技術でそれを解析するクロエ。この二人のアプローチの対比が、そのまま本作の持つ「オカルトとSFの融合」という贅沢な世界観を体現している。
特にクロエというヒロインの造形が秀逸だ。怜悧な頭脳と、日常で見せる年相応の無垢な愛らしさ。この絶妙な落差が、サイバーホラーの世界に、豊穣な魅力を与えている。
事件の真相に潜むのは、恐怖だけではない。「今いる場所から離れたい」「現実へ帰りたい」といった、人間が抱える普遍的な孤独や願いだ。
精緻に組み上げられたプロットの妙と、読後に広がる温かな余韻を、ぜひ多くの読者に堪能していただきたい。
AI《Alice》によって社会のあらゆるものが管理される未来。
その中で、結とクロエが追いかける怪異は、単なる恐怖の対象ではありませんでした。
そこには、誰にも届かなかった寂しさや、言葉にできなかった願い、置き去りにされた想いが静かに残っています。
怪異が視えるけれど、本当は普通の探偵でいたい結。
そして、技術と知識を武器に、見えないものを観測しようとするクロエ。
この二人の関係がとても魅力的です。
結は怖さや迷いを抱えながらも、目の前の誰かを放っておけない優しさを持っている。
クロエは天才らしい鋭さと少し危うい好奇心を持ちながら、その奥にとても切実な理由を抱えている。
GTSやARIAといった先端技術で怪異に迫っていく展開はわくわくしますが、この作品の魅力はそれだけではありません。
事件の奥にあるものを、ただ処理したり排除したりするのではなく、「なぜそこに残ってしまったのか」まで見つめようとするところに、強く惹かれました。
怖さ、SFの面白さ、バディものの掛け合い、そして胸に残る優しさ。
そのどれもが自然に重なっていて、続きも追いかけたくなる作品です。