「大きな数字って恐くない?」この一行キャッチが全てです。900文字・1話完結、しかし読み終えた後にじわりと広がる共感と恐怖の感覚が、この短さで成立しているのが見事です。何度も同じ夢を見る男の話と言うと幻想的に聞こえますが、「無数のものへの恐怖」「膨大な量に立ち向かわなければならない時間」という、誰もが身に覚えのある感覚を核に置いているのがAshさんの巧みさです。Ashさんの他作品「ヘイワナミライ」「神様の言うとおり(適宜)」とあわせて読むと、日常の隙間に静かに恐怖を滑り込ませる書き手の個性がよく分かります。
多くの人が共感するであろう「数」の恐怖。「無数」の生き物に感じる恐怖、膨大な量や規模に感じる恐怖。けれど人間は、とりわけ現代では、それに立ち向かわなければならない期間(とき)がある……。あれが苦手だったすべての人に贈られる悪夢の話。
数にまつわるトンチ。
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