概要
大森林。
いつ果てるとも知らないこの広大な森を、旅する青年と少女がいた。
青年の名はタイカ。《物語り》と呼ばれる、森を巡り知識の伝播を生業とする旅びと。
少女の名はシュト。火の精霊と契りを結んだ《祝り》と呼ばれる存在。
ふたりは北の氷原で仲間の商人と別れ、一路南を目指す。
向かう先は、青年の師たる者の住処。
──その地で新たな出会いを、少女はまだ知らずにいた。
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本作は長編「精霊に愛された少女は《物語り》と共に果てなき森を歩む」の続編になります。
前編を読んでいる前提での記述はありませんが、未読の場合「精霊に愛された少女は《物語り》と共に果てなき森
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!守られる少女から隣に立つ存在へ、成長が心に残る物語
この作品の第三部を読んで特に印象に残ったのは、シュトがタイカに守られる少女から、自分で考え、彼の隣に立とうとする存在へ成長していく姿です。
中でも、土地を奪われたと訴える獣人たちと巨人を巡るエピソードが印象的でした。一見すれば獣人側が被害者に見える状況でも、シュトは周囲の痕跡から事情を考え、実際には獣人側が巨人の領域へ入り込んでいたことに気づきます。タイカも彼女の意見を求めており、二人の関係が「守る者と守られる者」だけではなくなっていることが自然に伝わってきました。
そしてもう一つ心に残ったのが、カヌ・トゥから何を学びたいか問われたシュトが、タイカの知らないことを学び、自分が彼を補える存…続きを読む - ★★★ Excellent!!!歩みを進めるにつれ、意識が見つめる先は内省になる、必然の物語があります
長く続けた旅も、思えば遠く来たもんだ、そう思います。中原中也「頑是ない歌」を引いて。
中原中也「頑是ない歌」は著作権が切れているためネットで読めます。「頑是ない歌」は、大人の男が少年時代からの半生を振り返る詩です。詩を読めば気づきます。なるほど、そういうことかと。
《物語り》と呼ばれ師でもある男性・タイカが旅を続けるにつれて自身の内面に潜っていくことを、物語の主人公である少女・シュトも感じ取り始めます。
知らない物を見れば、見たときに思いがけない言動に出る自分の姿も見ます。そして振り返ると気づきます。今の自分は、何に出会い、出会ったときに何を選択して、ここまでたどり着いたのかを。
本…続きを読む - ★★★ Excellent!!!旅路が紡ぐ、絆と心の再誕の物語
その森は、誰も越えられない。
何年かけても踏破できない、果ての知れぬ大森林。
そこを旅するのは、精霊に選ばれ、精霊に捨てられた――そんな少女だった。
赤い瞳に、炎の気配。
追放され、孤独だった彼女の前に現れたのは、知識を集める青年。
《物語り》と名乗る彼は、優しく、どこか不器用だった。
ふたりは、焚き火を囲んで眠り、
風の音を聞きながら、言葉の温度を確かめ合う。
出会いがある。別れもある。
旅路の中で少女は、世界の広さを知り、
同時に、心の奥に芽生える「何か」に気づいていく。
これは――ただの精霊譚でも、旅の記録でもない。
誰かと出会い、すれ違い、
それでも「必要とされたい」と願う…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「私はタイカの役に立ちたい。大事な人だと、思われたい」
火の精霊の加護を宿しながら、嫉妬と恐れに囚われた人々によって捨てられた少女・シュト。
彼女は《物語り》を名乗る青年・タイカと出会い、ともに旅をすることになる。
向かう先は、タイカの先生が住む《鉄の道》の南端。
それがどれほど長大な旅路なのか、2人にもわからない。
だが、旅は残酷だ。
すれ違い、傷つけ合い、言葉にできぬ感情が胸を裂く。
「タイカは、私と旅をするのが嫌になった?」
問いの先にある答えがなんなのか、2人にもわからない。
だからこそ、互いに結び合わさった自身の望みの中から、最も大切な想いを伝えたいのだ。
「君が必要だと、言って欲しい」
あのとき、悲しみの中にも喜びを感じた…続きを読む