本当なんだよ。娘が入った高校のクラス、異世界の住人がいるんだぜ、普通に。生徒として。それもひとりふたりじゃない、うようよだ。入学式の後、PTAの説明会があって保護者が集まったんだけど、異世界からの保護者もうようよいたんだ。ドラゴンとか虎とかが、スーツやら和服やら着こんで、普通に座ってんだぜ。……ああ、うん、そんな風に白い目になるのが当然だよ、俺もそう思う。けどさ、ほかの人間の保護者……いや、変な言い方になっちゃうけど、実際そうなんだよ、どう見ても人間じゃない保護者と、なーんの違和感もなさそうになじんで、普通に接してんだぜ。なあ、俺がおかしいのか? きみみたいに、「はあ?」って思った俺は、おかしいと思うか? ともかく、これ読んでから教えてくれよ、俺がおかしいのかどうかを。ホント、自分の感性が信じられなくなっちゃったよ……。
男手ひとつ。大事に育てた娘が、第一志望校に入学いたしました。
めでたいことですな。
そして、学校の説明会に父親として参加したのですが……
まあ飛んだインターナショナルスクールだったようでして。
多様化が進んでらっしゃる。何せ……
ドラゴンやら、タイガーやら、コボルトやら……こちらの世界外からの住民の方々がクラスメイトになっておられるわけですので。
なんじゃこりゃ。と思う暇もなく、最初の関門。すなわちPTAの会長を決めねばなりません。
候補者は龍。そして、対抗馬にホワイトタイガー。
リュウコアイウツというやつですな。
まあ、そうでなくても多種族をまとめる会長になるわけです。差し当たりこのお二方以外、会長にふさわしい人選はないのだ……と……思われたのですが……
結論から申し上げますと、
PTAの会長になったのは、まさかの主人公です。
人間が、このカオスなクラスのPTA会長になってしまいました。
しかし読み終わればなるほど。
彼こそが、PTA会長になるべくしてなったのだなあと納得することになります。
そして、ほんと、『この方々』は一体どこからどうやってきたのか……?
異世界転生✖︎学園もの✖︎オッサンのこれぞライトノベル。
ご一読を。
現実、PTAでの協力は大切なこと。分かってる、分かっていますとも。
それでも役員となると及び腰、まして会長はご勘弁願いたい。
そんな本音ってあると思います。
それが、竜やら虎やらと見るだけで圧力に負けそうな保護者さえいる高校のPTA会長をやらされる羽目になるとは……
平凡な人物である主人公には同情しか浮かびません。
しかし、これだけではないのです。
作者様の構成力、筆力といった技巧に唸る短編です。
何気ない場面で思いがけない仕掛けがあったことに、最後になって気付かれるはず。
私は意地悪ですので、それが何かを申し上げません。
是非、ご自身の目でお確かめください。