概要
「昨日、死んだの」そう告げられたときから、ハヤトの日常は否応なく彼女の色に塗り替えられていく。
彼女はなぜ、死を選んだのか。なぜ、彼の前に現れたのか。理不尽な理由で取り憑かれたハヤトは、ミヤコの未練を晴らして成仏させるため嫌々ながらも奇妙な協力関係を結ぶことに。
様々な未練を抱えた死者たちと出会っていくうちに、彼は水瀬ミヤコが美しい笑顔の裏に隠した誰も知らなかった姿を知っていく。そうして、自分の守り続けてきた壁に亀裂が入り始めていることにも。
――淡い、絶望的な光を両手で掬い取って、また心の奥底にしまい込む。考えてはいけない。なにも変えてしまってはい
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!死者の未練に寄り添うたび、生者の心もほどけていく
死んでしまった少女との出会いから始まる物語なのに、読み終えたあとに残るのは、
怖さよりも静かな温かさでした。
人とのあいだに壁を作って生きてきた来栖ハヤト。
そして、死者となって彼の前に現れた水瀬ミヤコ。
最初の二人は、決して綺麗な関係ではありません。理不尽で、強引で、どこか噛み合わなくて、名前の付けようがない。
けれど、未練を抱えた死者たちと向き合ううちに、ハヤトの中にあった壁が少しずつ揺らぎ、ミヤコの笑顔の奥にある優しさや危うさも見えてくる。その変化がとても丁寧に描かれていて、気づけば二人の距離から目が離せなくなっていました。
ミヤコは、ただ可憐なだけのヒロインではありません。
明…続きを読む - ★★★ Excellent!!!~ 惹かれ合うほど、苦しくなる ~
「昨日、死んだの」この一言から始まる平成初期の青春怪談です。
壁を作り続ける文学少年・ハヤトと、死んでもなお笑顔のマドンナ・ミヤコ。二人が縮まるほど、ヒロインが幽霊であるという事実が読者の胸を締め付けます。「始めから不可逆が確定している物語」という既存レビューの言葉が、この作品の本質をそのまま言い表しています。
初田サヨリ編という寄り道が物語に深みを与えており、ミヤコ自身の謎は第2章でじわじわと明かされていく構成も巧みです。文体が美しく、情景描写が丁寧で、白菊とユリの匂いまで届いてくるような読み心地。★1350超えも納得の一作です。 - ★★★ Excellent!!!死 × 青春 = 『絶望×純愛』のCSE
ゆつみ かけるさん、企画より参りました柴井縫生です。
冒頭を読んだ瞬間、完全にあなたの構築したCSEに囚われました。
(確定した『死』) × (幽霊とのコミカルな『青春』) = 笑顔のまま息が止まる『絶望と純愛』
普通の恋愛小説ならプラスに働くはずの「コミカルな日常」や「青春の輝き」が、ヒロインがすでに死んでいる幽霊という絶対的な事実と掛け合わされることで、読者の胸を抉る「不可逆の痛み」へと変貌する。
笑えば笑うほど、惹かれ合えば惹かれ合うほど苦しくなるようなこの構造、まさに極上の【CSE文学】です。
「あなたが私を殺した」という理不尽な猛毒のスタートから、この叶わぬ恋がど…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幽霊に連れられて、少し道をはぐれた先には、切ない物語
初田サヨリ編までの感想です(ミヤコさんのキャラ好きです❗️)。
幽霊になった同級生の少女ミヤコと関わり主人公のハヤト。ミヤコはハヤトに恋しており、ハヤトもミヤコのペースに若干呑まれながら人ならざる者となった死者たちと関わる物語。
ミヤコの死には何やら謎があるのですが、物語はいきなりヒロイン問題には行かず、彼女をバディとして、別の少女の問題に移ります。
その物語の重く、切ないことーー
少女は生を求め、そして家族を愛していた。そんな彼女を主題としたサヨリ編は、序盤ながらとても感動的なエピソードでした。
これから先どういう形に進むかはわかりませんが、ここまで丁寧に物語を作れる作者になら安心して…続きを読む