どんなに過酷な環境で生きても、幸せになりたいと思う気持ちはきっと強い

とある植民地の島国で生まれ育った少女のおはなし。


この作品は、筆者の描くアジェンナ国シリーズの関連作です。
それぞれの作品は独立していますので、どのお話からでも気になったタイトルから読みこともできます。


『妖怪の村の小さな学校』からずっとストーリーを追い続けているので、主人公である奴隷の少女ミヌーの視点から物語を読むのは新鮮な気持ちでもあり、いろいろな発見もありました。


そう、このミヌーという少女はすごくしたたかで、たくましい。

奴隷としてお屋敷で働いていたものの、とある事件がきっかけで実の両親に売り飛ばされ見せ物小屋に。この見せ物小屋では単に芸をするだけが仕事ではなく、求められたら身体を売るいわゆる娼婦としてミヌーは生きていきます。


少女には過酷な環境ではありますが、精神的に強い(というより図太いと感じたくらい)ミヌーは自分にとって良い方向へと、つまりは楽に生きる方法をずっと模索し続けます。


一方、見せ物小屋にはちょうどミヌーと同じ年頃の女の子、シャールーンという少女がいますが、見た目も性格も考え方もミヌーとは正反対。
波長が合わないはずの二人は友情を築き合い、ともに学校へと通い、成長していきます。


物の考え方自体は大人になっても変わってはいないのですが、二人の少女の互いの存在が影響し合っているその見せ方がすごくお上手だなと思ったのは、きっとわたしだけではないはず。


ぜひ、たくさんの方に少女ミヌーの物語に触れていただきたいです。

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