概要
ここで討たせてもらうぞ。さすれば平家は逆しまに落ちる。逆落としだ――
治承三年二月四日(一一八四年二月四日)、鵯越《ひよどりごえ》。源義経は麾下七十騎とともに、そこから間道を抜けて、一路、福原をめざしていた。 史上、一ノ谷の戦いといわれるこの戦いで、彼は今、のちに逆落としとよばれる電撃戦をしかけようとしていた……。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!作者さまの歴史短編、傑作のひとつかも。初話からの〆がスゴいです
源義経の鵯越えを題材にした短編。
義経が何を狙ったのか?
冒頭の興味の惹き方からの、過去話の流れが素晴らしいです。
〆のおもしろさを予測しながら、どう繋げるかも楽しめます。
義経のキャラクターも、「こういうイメージ、あるよね!」と、私にはシックリくるものです。
『鎌倉殿の十三人』の義経も演者さん自身のイメージと合致してて好きだったんですが、文章にすると、本作のほうが義経っぽさ。
牛若丸っぽさがあっていいなと思います。
そるがまた、会話文から滲み出る感じも素晴らしいと感じました。
最後に絶妙だなぁと思ったのは、平家方ですね。
>双方ともに理があり、利がある。
意見が割れる表現といい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!天才か天災か
読み終わったので書きます。
タイはウケを狙って書いたわけではなく、読んでそのままの感想を当てはめたところこのようになりました。
平家を駆逐した源義経。紛れもなく戦の才覚を持った彼の存在は戦神と呼ぶのがピッタリです。
本来敵の領土に乗り込むのは何かと不利になることが多いですが、これを手際よく鮮やかに勝利への布石として魅せるのは、やられる側からしてみれば紛れもなく厄災そのものです。
その義経の暴れ振りでとりわけ有名なのが、今回の逆落としの話です。
リスキーすぎるからやらないと考えるのが道理な選択肢なわけですが、これを躊躇いなくやってみせたのが源義経という人物なわけです。
しかし、それだけで…続きを読む