権もはかりごと、謀もはかりごと、術もはかりごと、数もはかりごと
- ★★★ Excellent!!!
今からおよそ八百年前の鎌倉時代。この時代を作ったのは、日本史を習った人間なら誰でも知ってる源頼朝。平家を倒して鎌倉幕府を開いた人物という程度の知識なら、大抵の日本人は持っているはずです。
しかしその頼朝、平家打倒に立ち上がったのはいいが、あっという間に討伐軍を差し向けられ、石橋山の戦いでは絶体絶命のピンチに陥ります。そんな彼が、どうして武門の棟梁になれたのでしょうか?
そしてもっと驚くべきことには、八月に石橋山で敗れた頼朝が、翌月には千葉の諸勢力を糾合して南関東を制圧、十月には平家の討伐軍を富士川の戦いで撃破しています。日本史は割と得意な私も、これらのイベント期間がわずか二か月だったことを本作で知って衝撃を受けました。
本作では、一介の流刑者だった頼朝が、いかにして関東の覇者となったかを描いています。が、この文だけでは本作の魅力の百分の一も説明できていません。
軍事力をバックに経済面でも覇権を握りたい平家、それを阻止せんと暗躍する勢力。帝位争いに敗れ不遇をかこつ「王」。そして、これらの群像劇の中心に立つ頼朝の底知れぬ智謀は、彼の目的の成就、その一点を目指しています。必要なら、あえて敗北することも辞さない、と。まさに権謀術数で「国」を作ったのが頼朝です。
頼朝が最終的に勝利を収めることは、ネタバレでも何でもありません。しかし、
何故何も持たない流人が勝者となったのか?
何故石橋山の戦いでは窮地を脱し得たのか?
何故敗北から二か月後に、平家の大軍に「勝利」できたのか?
本作におけるこれらの疑問の答え、これは絶対にネタバレできません。読み終えている方には同意いただけると思いますし、未読の方は読み終えてから、ネタバレされなくてよかったと同意いただけるでしょう。
是非ご自身の目で、この疑問の答えを、頼朝の権謀術数の全てを、全52話の大河ドラマを、ご覧になってください!
権もはかりごと、謀もはかりごと、術もはかりごと、数もはかりごと
――司馬遼太郎『国盗り物語』より