このドキドキは、恋ですか！？

　子どもの頃に国内屈指の名家に養女として引き取られた主人公。そこで待っていたのは、周りから虐げられる過酷な日々でした。

　そのお屋敷には、かつてアヤカシとの間に交わした盟約がありました。百年に一度、月城家に生まれし霊力を持った娘を、花嫁として差し出すという盟約です。

　主人公が養女として月城家に引き取られたのは、彼女をその花嫁にするためでした。

　実母との確執、実母から愛されていないと思う疎外感。自らの運命に絶望しながら、狐のアヤカシの元に嫁いでいく主人公が切なくもありますが、夫となったアヤカシ狐にはある秘密がありました。

　――失われていた幼少期の記憶に、隠されていた真実とは……。

　――その記憶を消したのは……。

　家族愛、人間とアヤカシという種族を越えた深い愛。主人公はアヤカシ狐に見守られ、恋する感情を知ります。

　ラストはもちろんハッピーエンド。

　まるでアヤカシの世界に迷い込んだような情景描写や、主人公の揺れ動く心理描写が丁寧に描かれていて、作品の世界観に引き込まれます。