意外な結末が多層で複雑な読後感をもたらしている作品

病床に伏せった友人を思いやるが故に、常軌さえ逸した行動に至ってしまう男を描いている……という作品です。

病気の友人のため。
そのために自分の手をも汚す、健気な彼のイメージが、くるりとひっくり返るところが、この作品の一番の見どころでしょう。
非情な行動を取りながらも健気さを感じさせる彼ですが、実は読み手の想像を裏切る思惑を隠しています。
最後まで読むと「共犯者の罠」というタイトルの意味が分かるように構成されているのです。
その健気さと本性のギャップにより、おぞましさと彼と友人のこの先への漠然とした不安を感じさせて物語は幕を閉じます。
少し背筋が寒くなるような読後感を味わえる作品でした。

けれど、この読後の余韻は、それだけではないように思います。
語り手であるアモンは、決して善良ではないのでしょうが、では完全なる「悪」かと問われれば、個人的には首を捻る思いがあるからです。
たとえ歪んでいるとはいえ、情があるからこその行動であったには違いなく、だからこそ彼の心の怖さと共に切なさも感じられ、それが読後の余韻をさらに深めていました。
心の暗さはおぞましさを伴いながら、それでも、彼に情があればこそだったのだと思えば、その「暗さ」は理解できる気がする。
彼の「暗さ」は特別なものではなく、誰しもの心に宿るのではないかと感じられたからこそ、最後の一文が、ただ彼に向けられたものではないように思えてしまいます。
読み手の心にも「悪魔」の存在を感じさせる、そんな不穏さをも含んでいるような気がしました。
意外な結末が、ただ「意外」なだけではなく、多層で複雑な読後感をもたらしている作品でした。