過去のトラウマから、脳内で自動再生される母親の「正論」という名の呪縛に息を詰まらせる紗和の心理描写が、ヒリヒリするほどリアルに描かれています。正しさに押しつぶされそうな彼女の前に現れたのは、世間の「正しい防犯対策」や「正しい挨拶の時期」からちょっとズレた、不器用でチャーミングな葛城みちか。この二人の奇妙な「おあいこ」の成立が、凝り固まった紗和の心をそっと紐解いていく構成が実に見事です。
もっと見る