多数の傑作を残した画家、ゴッホをテーマにした10首連作です。
短歌は、57577のリズムで滑らかに読めることがひとつの大きなポイントと感じていましたが、本作は少しずつ言葉がリズムからはみ出します。ですがむしろそのリズムのずれが、絶妙に読み手の心を掴んで離しません。それはゴッホという画家の、短くも強烈過ぎる人生が根底のテーマとして波打っているせいかもしれません。
ゴッホの描いた空や風景、人物、静物。彼がこの世を去る直前の二年間に南フランスで浴びた明るい陽射しは、彼のキャンバスに尋常ではない鮮やかさをもたらしました。そこには同時に、深い影と物悲しさが同居しています。ゴッホという画家の孤独、苦悩のひとつひとつが、10首の歌の中に濃密に込められています。
一首読むごとに、ゴッホが向き合ったものたちの姿が目に浮かび、彼の苦しみと相まって胸に迫ります。そして、苦悩の末にようやく彼が辿り着いた安らぎに思いを馳せずにいられません。
是非たくさんの方に味わっていただきたい、素晴らしい10首連作です。
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