心の原風景を呼び覚ます、やさしい物語

佐々蔵翔人さんの『憧れの幼馴染』は、電車と自然に囲まれた幼い少年の目線から、世界の広さや優しさを丁寧に描き出した、心温まる作品でした。

特急「にちりん」に乗って訪れる別府温泉の描写には、旅情とともに“はじめての経験”の瑞々しさがあふれており、まるで自分が電車に揺られているかのような没入感がありました。

また、迷子の女の子を助けるという小さな勇気のエピソードや、割り箸問題に向き合う探究心など、主人公・和真くんのピュアな心の成長にほっこりさせられます。

子ども目線のリアルな感覚と、「知ること」の大切さを伝えてくれる本作は、まさに現代の“ちいさな冒険譚”。

癒しと余韻を感じさせてくれる素敵な作品でした。

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