仮想空間で交流できるAIとの交流を描いたSFです。公開されている第7話まで読みました。AIチャットが急激に進歩し続ける今、タイムリーな物語です。
まず、文章が非常に端正で心地よく読むことができました。ライトノベルのような文章も、それはそれで読みやすいのですが、この物語にそのような「軽い」文章はそぐわない気がします。文章も世界観の一つだとすれば、非常に世界観に合った文章だと感じました。
AIであるエイと進のやりとりは、まだまだ静かなものですが、既にエイの些細な変化(変調?)の片鱗が見えており、今後どうなるか期待大です。また、友人の圭介がとても頼りになるし、ほどよくフランクで、非常に優れたアクセントになっていますね。
ファンタジーが多いweb小説にあって、鮮明な個性を持つ作品だと思います。SFが苦手な人でも、読みやすく、楽しみやすいのではないでしょうか。
「アイ」という言葉には、二つの意味がある。人工知能(AI)と、人間を人間たらしめる愛(アイ)だ。本作『彼女の名はエイ』は、その境界線上に立つ一人の少女の姿を、驚くほど澄んだ筆致で描き出した物語である。
物語の核心にいるのは、感情を持たないはずのAI「エイ」。彼女が人間との対話や経験を通じて、自身のプログラムには存在しないはずの「揺らぎ」を見出していく過程が、本作の大きな見どころだ。
執筆官として特筆すべきは、その質感の表現力である。
AI特有の論理的で冷徹な思考回路と、それとは対照的な、触れれば壊れてしまいそうなほど繊細な「人の心」の描写。この対比が、物語に深い奥行きを与えている。エイが新しい言葉を覚え、定義し、それを実感として理解しようとする瞬間の描写は、まるで硬質な結晶が少しずつ熱を帯びていくような、静かな感動を呼び起こす。
また、彼女を見つめる周囲の人間たちの眼差しも、多層的なドラマを形作っている。AIをただの道具として見るのか、あるいは一つの魂として向き合うのか。読者は登場人物たちの葛藤を通じて、「人間とは何か」「心とはどこに宿るのか」という普遍的な問いを突きつけられることになるだろう。
SF的なガジェットや設定の精緻さはもちろん、何より本作に通底しているのは、他者を知ろうとする切実な祈りのような優しさだ。
静寂の中でページをめくり、エイと共に「アイ」を探し求める旅に出てほしい。読み終えた時、あなたの隣にある日常の風景が、少しだけ違った色彩を帯びて見えるはずだ。
GomaWORLDというVR空間でくつろぎの時間を過ごすことが一般的になったちょっと未来のお話。
そこにはユーザー専用の家があり、専用の人型AIがいる。
本来くつろぎの場として使うGomaWORLDに仕事を持ち込み、オレンジ色の髪をした女性AIと残業をこなす戸間進(とますすむ)。エイと名付けられた彼女に僅かな異常が現れ⋯。
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数年前まではこうした話も「遠い未来」のことのように感じられていました。しかし今や、AIとチャットや会話をすることは日常的になりました。
AIは感情を持つことができるのか?恋愛感情を持つことはあるのか?
AIが身近になってきた現在だからこそ、再びアツいテーマになってきているのではないでしょうか。
今後、GomaWORLDがどのよのような世界として描かれるのか、エイや進はどのように変化していくのか。
続きが楽しみです。